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小松島―成田 2回表小松島2死、馬場上は中前安打を放つ。捕手古跡 |
開会式が終わって3時間余りの阪神甲子園球場での初戦、小松島は秋の関東大会の覇者・成田(千葉)に惜敗した。目標の「一勝」は果たせなかったが、夏に戻ってくることを誓った部員たち。地元から大挙してやってきた約3千人の応援団は、健闘をたたえ、そして期待をこめて大きな拍手を送った。
◎…小松島・安達、成田・唐川、両エースの投げ合いで前半は推移した。
両投手は、それぞれ持ち味を発揮した。勢いのある直球で攻める唐川に対し、安達は低めをていねいに突き、ねばり強く投げた。
2年生の春からエースだった安達は昨秋、フォームを変えた。バックを信頼し、打たせてとるためには低めに確実に投げるのが最適と考え、制球を重視するため、腕の振りを少し下げた。
そうやって身につけた制球力を甲子園のマウンドでも発揮。走者を出しながらも5回まで無失点。「先取点を取るまで踏ん張らないと」。自分に言い聞かせながら投げ続けた。
均衡が破れたのは6回だった。先頭打者の右前打とバントで1死二塁。4番荒木への4球目が高めに浮き左前適時打を許した。さらに次の打者にも中前に打たれ、2点リードされた。
「抑えないと」という思いが力みにつながったのか、リズムを乱し、コースが甘くなっていた。7回にも2死から連打を許し降板。「もっとボール球をうまく使いたかった。配球も読まれていた」と振り返った。
◎…打線で気を吐いたのが腹痛で開会式を欠席した馬場上だった。
「みんなに心配をかけた分、プレーで返したい」と試合に臨んだ。2回2死で回ってきた最初の打席。速球を中堅にはじき返し、チーム初安打を放った。先頭打者で迎えた5回にも、外角速球を中前へ運んだ。
「甲子園に来てから打撃の調子は悪かった。でも、腹痛で力みがとれたのが良かったのかも」
しかし、いずれも得点にはつながらなかった。この日の小松島打線は再三にわたってバントを失敗。波に乗れない大きな要因になった。馬場上は「いつもなら確実に決まるのに。やはり、みんな堅くなっていた」と唇をかんだ。
◎…攻守の中心、主将の福島はこの日も外野から大きな声を出し、マウンドの安達をもり立てた。
入学当時はエース候補だった。しかし、1年の秋に右肩を脱臼した。一時はキャッチボールも出来なかった。昨秋、ようやく短いイニングなら投げられるようになり、流れを変える「切り札」としてリリーフ登板することが多くなった。
「福島の最大の武器は負けず嫌いな性格と集中力」。そう語る森影監督は、この日も、ピンチになれば福島をマウンドに送ることを試合前から決めていた。
7回裏、その時がきた。2点差で追加点のピンチ。センターからマウンドに向かう途中、安達とすれ違った。
「おれに任せろ」「頼む」
短いやり取りでさらに気合が入った。「絶対に追加点を許さない」。力のこもった投球で左飛に打ち取った。
四国大会の初戦、同じような場面があった。延長11回に2点をとられたところで福島が登板。後続を断ち、その裏に3点とって逆転勝ちした。
再現はならなかった。9回表、久々の好機で打順が回ってきたが、バットは空を切った。秋の公式戦では経験のなかった三振がこの日は三つ。「主将として相当な重圧を感じていたと思う」と森影監督。
相手の校歌が流れる中、福島は何度も両腕で涙をぬぐった。「帰って死ぬ気で練習し、夏に戻ってきます」。試合後の福島は、そう言うのがやっとだった。