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優勝を決め、喜び合う駒大苫小牧の選手たち=20日午後3時17分、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で |
「あと一つ」
全国高校野球選手権大会決勝、2点リードの9回表。2死走者なし。澄んだ夏空に、マウンドに集まった駒大苫小牧の内野陣が人さし指を立てた腕を突き上げた。
昨夏の優勝チームが「一番を目指し、心を一つに」と使っていたサインが自然に出た。
5回から救援した田中将大君は2奪三振後、次打者をカウント2―2に追い込む。スタンドを揺るがすような手拍子が沸き上がった。
「あと1人! あと1人!」
田中君の体がしなる。150キロ。これまで出したことがないという球速に、最後の打者のバットは空を切った。
「やったー」。地鳴りのような歓声と拍手。連覇を達成した選手たちはマウンド上で抱き合い、喜びを爆発させた。
57年ぶりの偉業。昨夏のベンチ入りメンバーで、この試合先発の松橋拓也君は「今年は自分たちで勝ちとった。喜びはずっと大きい」。主将の林裕也君の父美裕喜さん(44)は「プレッシャーにも泣き言は言わなかった。最高の息子です」と喜んだ。
大阪府など有力都府県の多くが夏の甲子園で100勝以上の勝ち星を挙げるなか、北海道は03年まで南北合わせても49勝止まり。それだけに昨年の駒大苫小牧の快進撃は鮮烈で、チームはこの1年間、過去のどのチームよりも「優勝校」の重圧を背負うことになった。
一挙手一投足が注目され、対戦校は闘志むき出しでくる。新チーム結成時、香田誉士史(よしふみ)監督は「来年、全員で大優勝旗を返しに行こう」と奮起を促したが、途中から「選手たちには重すぎる」と封印。逆に「楽しくやろう」を合言葉に、連覇の夏に挑んだ。
準々決勝の鳴門工(徳島)戦は5点差を逆転。準決勝も、大会屈指の左腕・辻内崇伸君を擁する大阪桐蔭(大阪)を延長の末下した。「負ける気はしなかった」という勢いは、決勝の舞台でも止まらなかった。
7回に同点とされても、選手たちは動じない。セーフティーバントした林君が一塁にヘッドスライディング。流れを一気に引き寄せ、この回2点。追いすがる相手を突き放した。
待ちに待った優勝インタビュー。林君は2度大きく息を吐き、少し間をおいて、一気に叫んだ。
「みんな、最高だ!」