「執念」と自ら振り返るヘッドスライディングだった。
7回無死一塁、三塁線にバントを転がした駒大苫小牧の林主将が一塁に頭から突っ込んだ。三塁手の送球より一瞬早く、セーフ。土煙のなか、拳を握りしめた。
「流れを変えたかった」という林の思いは現実となる。五十嵐のバントで好機を広げ、辻の二ゴロで1点。岡山の遊前内野安打で林も本塁を踏み、2点を勝ち越した。
林は直前の7回表、守りでミスをした。無死二塁で京都外大西・林のゴロを一塁へ悪送球し、この回、同点に追いつかれた。「落ち込んでいたら、みんな声をかけてくれた。何とか取り返そうという気持ちだった」
「引っ張ったというより、みんながもり立ててくれた」。林は主将として言葉が多い方ではない。だからこそ、岡山は「いつも大変そうな感じだった。何とか助けてやりたいと思ってきた」。
そんなお互いを認め合う心が今大会、試合で生きた。1回の先制点につなげた聖心ウルスラ(宮崎)戦の二塁打。決勝点のきっかけをつくった大阪桐蔭との準決勝の10回の二塁打。大事な場面で林の一打がチームを勇気づけ、打線がつながった。
「やっぱり重い」。開会式で返還した優勝旗を、閉会式で再び手にした林は涙ぐみ、仲間たちと喜び合った。5試合で打率5割5分6厘をマークした主将を中心に広がった選手たちの輪。連覇の重圧を跳ね返し、強打の昨夏から、総合力への成長を見せつけた優勝だった。