島のエースの甲子園が終わった。
樟南の佐田は2、3回戦で連続完投勝ち。3回戦の銚子商戦では被安打2と、上り調子できた。この日も立ち上がりは上々。だが、悪夢は5回に待ち受けていた。
同点にされ、なお1死一、三塁。中川のスクイズは佐田のやや右へ。マウンドを駆け下り、右手で捕ろうとしたが、かすりもしない。さらに2連打されて計4点を失い、三塁の守備に回った。「球が浮いた。気持ちを込めて投げたけど、だめだった」
鹿児島大会の3回戦で勝った後、熱中症で3日間寝込んだ。準々決勝で復活したエースを支えたのは、島を飛び出した時の決意だった。
鹿児島港からフェリーだと約11時間。佐田は奄美群島の喜界島出身だ。故郷の自慢を聞くと、うれしそうに「海がきれいなんです」。野球はサトウキビ畑を営む祖父に教わった。「力を試したい」との挑戦心から、鹿児島市内の強豪に進んだ。
甲子園での3試合を振り返り、「悔しさより、精いっぱいやれたって気持ちがある。力は出し切りました」と笑った。
自慢の海が、エースの帰りを待っている。