一塁側ベンチ前で円陣を組んだ銚子商の選手に、斉藤監督の指示が飛んだ。7回の攻撃。なかなか追加点を奪えず、リードは2点しかない。「打つポイントをもっと前にして、バットを当てにいかず、振り切れ」
1死二塁から、遠藤が監督の狙いに応える。真ん中高めの真っすぐをフルスイング。打球は中堅フェンス手前で弾み、二塁走者が本塁へ。4点目となる追加点をようやくたたき出した。
遠藤は、前の2打席はともに直球に差し込まれて凡退。だが、この回はバットを振り始めるタイミングを早め、真っすぐを捕らえた。
監督は言う。「遠藤が指示通りに打ってくれた。あれが一番大きかった」。この後、渡辺、田崎の連続適時打で計3点。勝負を決めた。
苦しい試合展開だった。右横手から投げる鳥取西の浜本の直球を狙ったが、球速以上にキレのある球を捕らえきれない。6回は無死三塁からスクイズ失敗。焦りがミスにつながっていた。監督も「中盤までに、もっと点を取らなければいけなかった」。
74年に全国優勝している銚子商と言えば、「豪打」の印象がある。10年ぶりに夏の甲子園に戻ってきた「黒潮打線」は、エンジンのかかり具合は遅いかもしれない。だが、当たり出したら止まらない力強さは感じられる。