第56回県高校優勝野球大会(県高野連主催・朝日新聞社など後援)の決勝戦が3日、岡崎市の岡崎市民球場であり、享栄が同朋を6―1で下して優勝した。同校の優勝は16年ぶり6回目。初めて決勝に進んだ同朋は、今大会好調だった打線に、あと1本が出ず、初優勝を逃した。決勝を戦った両校は、19日から県内で開催される春季東海地区大会に出場する。
享栄は2回裏、1死から左翼線二塁打で出塁した櫛田を、続く植田が中越適時三塁打で返して先制。その後も3四死球や敵失に乗じて3点を奪い、試合の主導権を握った。
先発の宮本は、連投の疲れから変化球の制球は定まらなかったが、要所で伸びのある直球が低めに決まり、11奪三振。強打の同朋打線を4安打に抑えて完投した。
同朋は、3回表、桜井の左翼線二塁打などで1点を返したが、好機に走塁ミスなどが相次ぎ、追加点が奪えなかった。
◆「平常心」主戦に力 享栄・宮本選手
7回表2死一、二塁。2者連続三振でピンチを切り抜けた瞬間、享栄の主戦、宮本剛君(3年)は、マウンド上で、小さく拳を握った。
左打者の外角低めいっぱいに決まったのは、得意の直球。打者の手元でグンと伸びる決め球は、球速140キロを超える。でも、決して力任せに投げている訳ではない。
本格派左腕として早くから期待を集めた。昨夏も2年生ながら背番号1を背負ったが、ピンチで制球を乱して思うような投球が出来ず、あこがれの甲子園は遠かった。
「何がいけないのか」。自問自答する中で、弱気から来る「力み」が原因だと気が付いた。
自身を弱気な性格と分析する。ピンチになると、早く逃れたい一心で得意の直球に頼り、三振を狙ってしまう。そのことが、肩に力を入れ、制球を乱していた。
「ピンチから逃げず、でも、冷静に」
向かって行くことと、力を抜くこと。一見、相反するように感じる二つを目指すために必要なこと。たどり着いた答えは「平常心」だった。
「いつも通り」。ピンチになると自分に言い聞かせる。力を抜いて丁寧にコースを突けば、打たれても仲間が必ず守ってくれる。目指した平常心は、いつしか力任せのエースに、周りを見渡すゆとりをもたらした。
準決勝に続き、この日も2ケタ奪三振の快投。試合後、今後の課題を問われると、「三振を狙わず、球数を減らして完投すること」と答えた。
「夏は連投になるので」。帽子の裏に書いた「平常心」の文字に目をやり、そう付け加えた主戦は、冷静に最後の夏を見据えている。