相手の強力打線を抑えきれず、23季ぶりの優勝は果たせなかった。熊本市の藤崎台県営野球場で28日にあった第118回九州地区高校野球大会(九州地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)の決勝。熊本県代表の熊本工は今春の選抜大会に出場した八重山商工(沖縄)に2―17で敗れたが、同じく選抜出場の伊万里商(佐賀)と延岡学園(宮崎)などを破った末の準優勝に輝いた。
◎…7回裏2死一、二塁。フルカウントから見逃しの三振に倒れた熊本工の主将狩場は、ヘルメットを取りながら「あー」と悔しそうな声を漏らした。「好機で走者をかえす4番の役割を果たせなかった」
7回表の相手の攻撃が終わった時点で許したリードは9点。それでも熊本工は点を取りに行く気持ちを失っていなかった。1死から藤村が敵失で出塁。藤田が高めの直球を中前にはじき返して続く。さらに、「ここで何とかしてやろう」と岩崎が左前安打を放ち、1点を返した。
2死後に回ってきた狩場の打席。「どんな球でもついていこうと思った」が、手が出なかった。「相手が上だった。それだけです……」。選抜大会でも注目された八重山商工のエース大嶺の力を痛感した。
昨夏は2年生ながらレギュラーとして定着して甲子園のグラウンドに立ったが、初戦で敗退。自らのミスもあった。「今年の夏も甲子園に出て、悔いのないプレーをしたい」
この日は大敗を喫したものの、強豪を次々に破って得た準優勝の勲章。「いい経験になった。経験だけに終わらせないで、自分たちのものにしていきたい」。主将らしい、力強い言葉だった。
〈熊本工の林幸義監督の話〉 「おれたちの力はこんなものだ。もっと頑張ろう」と思ってくれれば。上には上がいるとわかっただけでもいい。
◆遠足取りやめ学校全員応援
熊本工はこの日、「新入生歓迎遠足」を予定していたが、決勝進出を受けて「全校応援」に変更。約1200人の生徒が一塁側スタンドに陣取って声援を送った。
学校応援団担当の金森伸治・実習教諭(37)によると、全校応援は昨夏の県大会以来。午前中に校歌指導や生徒の自己紹介といった遠足での行事を済ませてから球場に来た。「場所を変えても生徒同士が親交を深めることは同じです」
土木科1年の浜裕駿さんは「野球が好きなので遠足よりも全校応援でよかった」と懸命にメガホンをたたいていた。