第87回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場した高陽東は3回戦で鳴門工(徳島)に3―10で敗れ、広島大会から約1カ月間の戦いを終えた。甲子園でも力強い打撃を見せ、敗れた鳴門工戦でも相手と同じ14安打を放った。走塁や犠打などの小技も光った。今夏の高陽東の戦いぶりを振り返った。
■攻撃
強力打線は甲子園で違った姿も見せてくれた。初戦の土岐商戦では、主将で1番工藤真司君や2番の下見真樹君のそれぞれ2盗塁を含む6盗塁を決めた。前評判の高かった相手主戦のモーションを盗み、動揺を誘った。
広島大会で打率4割4分2厘を残した鋭い振りは、甲子園でも十分に通用した。3回戦の鳴門工の主戦投手は「選手の鋭い振りが印象的。単打なら打たれても仕方がない」と試合に臨んでいた。
高陽東は5回に3連打、7回には4連打を放った。だが、いずれも1点に終わった。広島大会では、同じような場面で一気に大量得点していた。工藤君は試合後、「点を取ろうと焦ってボール球に手を出してしまった」と振り返った。この苦い経験を新チームでいかしてほしい。
■投手
主戦の安部良亮君は初戦の土岐商戦で、勝負どころで内角を突き、低めにボールを集めた。スローカーブも効果的だった。
だが、3回戦の鳴門工は違った。「甘い球を見逃してくれなかった。力んで、浮いた球を狙われた」と安部君。バント処理を悪送球して動揺もあった。同じ投手出身の松岡正之監督は「もう少し低めに集めていれば。直球に球威がなく、制球も悪かった」と2年生主戦を厳しい言葉で評した。
6回から救援した同じ2年生の左腕、舛野充君は広島大会では2試合で計2イニングに登板しただけ。3点を失ったものの、直球で勝負を挑む力投を見せた。
安部君は「もっと鍛えて甲子園に戻ってきます」、舛野君は「もっと球速をあげて戻ってくる」と来夏へ成長を誓った。
■若い力活躍
先発メンバーで3年生は3人。鳴門工戦で4度出塁した先頭打者の工藤君、先制の適時打を含めて3安打の3番飯倉茂章君、つなぐ野球に徹して中前に打ち返した4番民法安崇君。3人がチームを引っ張った。
5番の2年生河野上一馬君は「最後の打席は一秒でも3年生と一緒に長く野球をしたい」という気持ちで四球を選んだと話した。
大阪桐蔭の中田翔投手、京都外大西の本田拓人投手――。大会では若い力の活躍が目立った。高陽東も今回のメンバーでは2年生が8人、1年生が1人。大きな刺激になったはずだ。
2年生の民法知紘君は甲子園の砂を持って帰らなかった。「1勝の重み」「1球の大切さ」を胸に刻み、再び夏の大舞台に立ってほしい。