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堅守をみせる太田市商の佐藤捕手 |
「大丈夫。いい球がきてる」。太田市商の捕手佐藤辰甫君(3年)がタイムをとっては、マウンドに駆け寄る。そのマウンドには相沢寿聡君(3年)がいる。大会屈指の左腕と言われた相沢君の顔が緊張でひきつっているのがわかった。なんとかして和らげたい。「打たれても絶対にかえすから。思いっきり投げろ」
言葉通りに実行できたのは、2人の深いきずなのなせるわざだ。
3点リードされて迎えた3回裏。「とにかく相沢を助けたかった」。内角まっすぐの球。佐藤君が無心で振ったバットがとらえ、左翼方向に吹く風にも助けられて、スタンドに飛び込んだ。2点をかえした。
佐藤君は、相沢君にとって「何でもわかってくれる親友」だ。「どんなピンチの時も、マウンドに来て笑顔で励ましてくれた。投手としてライバルだったあいつがいたから、ここまで伸びてこられた」
一昨年と昨年、佐藤君は相沢君と競い合う投手だった。小学2年で野球を始め、5年からずっと投手だった。2年前の夏の大会、太田市商は相沢君と佐藤君の1年生コンビが登板。相沢君が先発し、佐藤君が継投した。
それが1年の秋ごろから、佐藤君は不調に苦しんだ。思うように投げられない。練習が成果に表れない。野球を楽しめなくなった。「もうやめようか」。そんな思いが何度も頭をよぎった。
転機が訪れたのは2年の冬。強肩を買われ、けが人が出て空いていた捕手に転向した。投手に未練がない、といえばうそになる。けれど、「受けるのが相沢の球だったから」。
捕手として初めての大舞台。「負けたのは本当に悔しい。でもこの夏、野球が本当に楽しかった」。佐藤君はそう言って、涙をぬぐった。