 |
4回裏柳川無死、松尾(左)に左越え本塁打を浴び、打球の行方を追う東筑・野田投手=小郡球場 |
4回裏、柳川の4番打者への2球目。内角の直球が甘く中に入った。特大のソロ本塁打。「大丈夫、大丈夫」と東筑の高山翔平捕手が、マウンドの野田智博投手に声をかけた。5試合でコールド勝ちした強打の柳川打線。結局、奪われたのはこの1点だけだった。
ひじ、肩、腰、すね。高校ではけがばかりしていた。1年秋の九州大会初戦で7回を完封。青野浩彦監督も期待していたが、応えられずにいた。今の投球フォームにしたのも2カ月前。ひじが痛くないように投げたい、が理由だった。
準々決勝の博多工戦では1失点。1回戦以来の完投だ。青野監督は準決勝ではほかの先発も考えたが、前日の練習で調子がいい野田君にかけた。
朝、夢の中で柳川と対戦していた。コールド負けですぐに試合が終わり、お別れ会までやった。起きた後もしばらく胸が鳴った。ただ、それで気が吹っ切れた。
今日のテーマは「内角を攻める」。直球とスライダーだけを内角めがけて投げ込んだ。これまで失点0の相手エースを見て、「自分が抑えないと」と思っていた。
グッと右足に体重をかけ、横手から投げ込む。伸びのある球で柳川打線を8安打に抑えた。打たれた長打は、あの本塁打だけだった。
6回にも本塁打を打った相手4番が打席に。思い切り内角に投げ込み、見送り三振にしとめた。野田君は握り拳を突き上げ、マウンドで跳んだ。
試合後、ベンチで泣きはらした。でも、「ベスト4に来られるとは思わなかった。本当に楽しかった」と振り返った。