|
ここから本文エリア 現在位置:高校野球>コラム>井上明 高校野球歳時記> 記事 名コーチを偲ぶ2008年02月14日 テレビドラマが気になる。タイトルは「フルスイング」。プロ野球界で30年にわたり打撃コーチとして多くの打者を育て、高校教師に転じて「甲子園」への夢半ばで倒れた高畠導宏さんの生涯を描いた物語だ。「甲子園への遺言」(門田隆将著)をドラマ化したもので、在りし日の高畠コーチの姿を思い出してしまう。 中日、オリックスなどのコーチをしていた高畠さんとは、よく球場で顔を合わせ雑談にふけったものだ。その後、ロッテの担当になり、再び出会うことができた。鹿児島・鴨池球場のキャンプでは、早出特打ち、チーム全体練習後の居残り練習など、ユニホームを脱ぐ間がないほど、いつまでも若い選手につきあっていた。外野に向かって打つロングティー、息をつかせぬスピードの早振りティー。小さなトランポリンにボールを投げて跳ね返りを打つ打撃。さらに、グリップ部分を切り短くしたバットをネットに投げるなどアイデア満載の練習は見ている側も飽きなかった。 常々「教え過ぎない」「とにかくほめること」とコーチ業の要点を話していた。ある日のこと「もうすぐ取れそうだよ」と照れながら教えてくれた。通信教育に通っていたことは聞いてはいたが、現役のベテランコーチが仕事の合間を縫って教員免許を取得することに驚かされた。そして「2年間教壇に立って、甲子園に行くからな」と大きな目を輝かせていたのが忘れられない。若手に限らず選手から慕われ、信頼されていた名コーチが高校野球の指導者になる。夢のような話にわくわくし、どんなチームを作るのか楽しみにしていただけに、無念の思いが尽きない。 ◇ リトルシニア、ボーイズ、ヤングの少年硬式野球の各リーグから派遣された審判による合同審判講習会が今月初旬、兵庫県立総合体育館を主会場に開かれ、日本高校野球連盟の木嶋一黄・審判規則委員長らが指導にあたった。今回が9回目。発声練習をはじめ、球審の基本動作や姿勢を入念に点検しブルペンでは投球判定。また、走者をつけた実戦形式では一、三塁、満塁の場面でのフォーメーションや塁審の動きを確認した。タッチアップの確認がおろそかになったケースでは、その都度細かく指示が出された。このほか、甲子園大会のDVDを使ったルール説明会、さらに簡単なテストが実施されるなど、密度の濃い講習会となった。先月は、プロアマ合同の研修会が開かれるなど、とかく連携の悪さを指摘される野球界だが、審判間では密接な交流が進んでいる。 この記事の関連情報井上明(いのうえ・あきら)1951年、松山市生まれ。朝日新聞大阪本社スポーツグループ記者。松山商(愛媛)のエースとして、69年夏の第51回全国選手権大会決勝で三沢(青森)の太田幸司投手と延長18回をともに無失点で投げ合った。翌日の再試合で優勝。明治大でも投手、主将として活躍した。75年に朝日新聞入社。主として高校野球をはじめとしたスポーツ取材に携わる。 |