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ここから本文エリア 現在位置:高校野球>コラム>井上明 高校野球歳時記> 記事 選抜、目立った「投高打低」 21世紀枠、光る健闘2008年04月05日 紫紺の優勝旗が再び沖縄に渡った。昨夏の佐賀北旋風に続き、今春は沖縄の風が吹いた。九州勢が熱い。9年前、沖縄県に初優勝をもたらした比嘉投手が母校・沖縄尚学の指導者になり、チームを率いて再び優勝旗を手にする。「高校野球ドラマ」のようなストーリーを完結させた。
その強さは、右本格派・東浜の存在抜きに語れない。140キロを超す球威と、手元で沈むツーシームを駆使した制球のよさ。スタミナもあり、この時期としては完成度で群を抜いていた。また、打球に素早く反応する内野陣のグラブさばきと送球の良さ、高いバント技術に積極的な走塁とバランスがとれていた。 完封試合が12(うち1―0が5試合)。1時間台で終了したのが13試合、展開の早い試合が続いた。投球数の少なさが裏付ける。わずか1時間32分で終わった小松島―聖望学園戦は井内が90球、大塚は102球。八頭の平木は宇都宮南を79球で完封した。背景には1球目から打って出る積極的な打撃がある。バッテリーはこれまで以上に初球の入り方が要注意。ボール球に手を出させる工夫が必要だ。 聖望学園の大塚や宇治山田商・平生の投球は、上体の強さを生かした力感があった。東洋大姫路の佐藤は球の切れと緩急で投球術のうまさを見せた。東浜、大塚らは、直球系で微妙に変化するツーシームやカットボールを多投した。バットの芯をわずかに外すのが狙いで、最近の流行になってきた。打撃陣には今後の課題になるが、今大会では強引に打つだけの淡泊な攻めが目立ち、「投高打低」の現象が顕著だった。 21世紀枠出場の成章、安房(あ・わ)、華陵の3校が強豪私学と堂々と渡り合って初戦を突破。全国のチームに勇気を与えた。選抜大会特有の制度が生きた。3校に共通するのは制球力のある投手と、堅実な守備陣。何より、プレーに対するひたむきさが、大舞台で彼らの背中を後押しした。 すでに各地で春季大会が行われ、夏の沖縄大会開幕まであと3カ月もない。さらにたくましくなった選手たちの姿を待ちたい。(井上明) 井上明(いのうえ・あきら)1951年、松山市生まれ。朝日新聞大阪本社スポーツグループ記者。松山商(愛媛)のエースとして、69年夏の第51回全国選手権大会決勝で三沢(青森)の太田幸司投手と延長18回をともに無失点で投げ合った。翌日の再試合で優勝。明治大でも投手、主将として活躍した。75年に朝日新聞入社。主として高校野球をはじめとしたスポーツ取材に携わる。 |