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ここから本文エリア 下関商、千金の涙 9回2発、一時は同点2008年03月24日 薄曇りの空に打球が舞った。10回2死二塁。下関商の中堅・竹野内はやや前寄りに詰めていた。仮谷の飛球に3、4歩後退した後、正面に向き直る。ところが、目線がずれ、差し出したグラブからボールがこぼれた。
流れは下関商に傾きかけていた。9回、得意の粘りを発揮。先頭の西村卓が左翼席に打ち込んで1点差。打席に5番の島田が入った。直前、2回の守備で負傷退場、病院での治療を終えた和泉がベンチに戻ってきた。 佐々木監督が「和泉が帰ってきたぞ」と大きな声で鼓舞したが、集中する島田は気付かない。「大振りしないで、何とか塁に出よう」。カウント1―3、直球1本に絞る。狙い通りの球に自然にバットが出た。二塁ベースに向かう途中、本塁打とわかった。土壇場で追いついた。 昨秋の中国大会で準決勝、決勝を延長サヨナラで制するなど、競り合いの強さには自信がある。が、当時と状況が違っていた。マウンドの島田は「連打じゃなく本塁打での得点だったし、先攻めは苦しい」と一抹の不安が頭をかすめたそうだ。 そんな予感が、10回に現実のものになった。「直球が高く浮いてしまった。あの場面でゴロを打たせられなかった僕の責任」と、島田は泣き崩れる仲間をかばった。まさかの結末には「甲子園に魔物が住んでいることがわかった。いい経験です。後攻めが取れるようジャンケンも鍛えないと……」。エースで主将の島田が、いつもの笑みを取り戻した。(井上明) |