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ここから本文エリア 俊足の切り札 夏へ誓い 中京大中京・荒殿選手2008年03月29日 5回2死一塁、塁上にいた中京大中京・荒殿(あらとの)龍一君(3年)は盗塁のタイミングを計っていた。カウント2―0。迷わず走ると警戒していた明徳義塾バッテリーがボールを外した。微妙なタイミング――。だが、荒殿君の俊足がわずかに勝り、セーフになった。「あの打席は、自分の持ち味が出せた」と振り返る。
昨秋までベンチ外だった。競争の激しい中京大中京でいかに背番号を手に入れるか。答えは「50メートル5・9秒の俊足を生かす」だった。ダッシュ練習では、誰よりも先にゴールすることを心がけ必死に走った。足を生かすためにセーフティーバントの練習を積み重ねた。代走の切り札として背番号「18」で滑り込んだ。 大阪入りした3月中旬、大藤敏行監督から打撃について指導を受けた。それまで体ごとひねっていた足を「まっすぐ上げてまっすぐおろせ」と言われた。打撃が見違えるほど良くなった。18、19日の練習試合で9打数8安打の成績を残し、甲子園での大一番で1番打者に指名された。 3回2死で一塁走者となった場面では、山中渉伍君の中前安打の間に三塁を目指す積極的な走塁で好機を広げ、1点目のホームも踏んだ。自慢の俊足は甲子園でも存分に披露した。 しかし、延長でのサヨナラ負け。「足を生かすためにも低い打球を打たなければならないのに打ち上げてしまった」。悔しさだけが残った。「夏、絶対にもう1回来る」。そう、自分に言い聞かせた。 |