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なぜ誕生した選抜大会 出場校の選抜基準も時代とともに

2007年03月30日

 大正4年に開催された夏の全国中等学校野球大会から遅れること9年、大正13年春に選抜大会の第1回大会が開催された。

 選抜大会が生まれた背景には、野球熱の高まりがあった。当時、中等野球の全国大会は夏の選手権だけだったため、もう一つ全国的な大会をとの要望が高まっていた。

 夏の選手権は、地方大会から全国優勝まで1本勝負の勝ち抜き戦だ。時の運に左右されれば実力があっても勝ち抜けるとは限らない。また、地区のレベルが高いと、実力があってもなかなか代表になれない。そこで、全国から優秀なチームを選んで試合をさせたらどうか、という声が出たのだ。

 開催地も第1回大会は野球の盛んな地域という事で名古屋市昭和区の八事・山本球場が選ばれた。当初は各地持ち回りで、毎年、東京、松山、和歌山など、会場を移動するという企画だった。ところが、東洋一の甲子園球場が完成したため、第2回大会を甲子園で行い、その後もそのまま甲子園で開催される事になった。

 第1回大会は評判の高かった東京、東海、近畿、四国の4ブロックから、リーグ戦などの成績により和歌山中、早稲田実、横浜商、愛知一中、立命館中、市岡中、高松商、松山商の8校が選ばれた。四国だけは2校が選出されている。高松商は十分な実力を持ちながら、同じ四国の松山商の厚い壁を破れず夏の大会には出場できなかったため、一度、桧舞台を踏ませてやろうとの配慮があったようだ。出場した高松商は、1回戦で和歌山中を9回逆転サヨナラで破ると、そのまま勝ち進み優勝をさらってしまった。これが、「選抜大会は高松商のために企画されたようなものだ」と言われる由縁である。

 第2回大会からは正式な選考委員会が設置された。1年間の戦績表などを作成、まず、全国から候補校を選び、その中から順次、出場校を選び、意見が割れた時は委員による投票が行われた。

 当時、毎日新聞の前身である大阪毎日、東京日日などが中心となって大毎野球団を編成していた。野球の腕に自信を持つ社員など、そうそうたるメンバーが集まり大変強力なチームだった。全国を巡回指導したり、コーチを派遣したりして中等野球界に大いに貢献していた。中等野球界で強かった和歌山中が、しばしば大毎野球団と対戦していたこともあり、和歌山中の働きかけもあって、主催が決まった訳である。

 8校でスタートした選抜大会は、しばらくは基本的には16校を選出していたが、どうしても絞れ切れない時は19校や20校となった。その後、まず地区を分け、地区ごとの出場校を割り当てて選出するようになり、記念大会以外は昭和9年からは20校となった。戦後しばらく16校に戻ったが、やがて寒冷地に励みを与えたいと1校増やしたり、沖縄に特別に1校割り当てたりして20校、23校、24校、26校と徐々に増えていき、昭和48年の45回記念大会からは30校となった。そして昭和58年の55回大会からから32校となり、現在に至っている。

 平成13年の73回大会から、21世紀突入を記念して21世紀枠(色々な困難を克服し、健闘しながら出場に恵まれず、プレー態度が他校の模範となる学校)として2校選出するようになり、平成15年の75回大会から5年間は特別枠として希望枠(秋季大会の最後の試合からさかのぼった5試合の守備力を重視)と神宮枠(前年の神宮大会で優勝した地区に1枠与える)を1校ずつ増やしたが、平成16年からはそれらの特別枠を含めて32校の選出となっている。

 選抜大会は来年、80回の記念大会を迎える。今後、どんな企画が打ち出されていくのか今から楽しみである。



恒川直俊(つねかわ・なおとし)
 1940年、名古屋市生まれ。明治大法学部卒。高校野球を中心とした野球史の研究に取り組む。著書に「プロ野球で活躍する甲子園球児の戦歴事典」(2000年東京堂出版、2003年改定)、「出身校別懐かしの甲子園球児たち」(2005年東京堂出版)、「熱球譜‐甲子園全試合スコアデータブック」(2006年東京堂出版)などがある。
>>主な著作


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