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タイトル

「華やかな一発、裏に努力」 国重友美さん

2007年08月22日

 試合開始のサイレン。この音って、ずっと女の人が出す声だと思ってた。わっ、広陵がリードした。山口県出身だから、広島県のチームを応援しちゃう。

写真くにしげ・ともみ 山口県生まれ。03年、書家としてデビュー。自身が考案した「英漢字」を使った書は国内外で評価されている。夫は俳優の西村和彦さん。29日から大阪市の大丸梅田店で個展を開催。28歳。

 小さい頃はスポーツ万能。男の子と一緒にサッカーをやり、中学時代はバレー部と掛け持ち。リフティングは400回くらいできた。ところが、中2の時にヘルニアの手術を受けてから、体調を崩しやすくなった。

 ずっと主将で、試合に出るのが当たり前だった自分が、控えの立場。受け入れるのに時間がかかった。だからかな、控え選手の動きが気になる。ベンチにいる選手だって、さぼっていたわけじゃない。能力とか、体の限界まで努力したけど、レギュラーには届かなかった。いま、控え選手が、守備につく選手にグラブを渡している。彼らの気持ちをついつい考えてしまう。

 体が弱くなって、何か夢中になれるものを探している時に、書道の先生から同好会に誘われた。6歳で始めた書道だったけど、スポーツ以外で褒められたのは初めて。先生が、型にはめず自由に書かせてくれたのも、私には合っていた。

 書道の先生を目指し大学に進んだけど、アクシデントで教員採用試験の願書を出し忘れた。暗闇をさまよっている時に自分には書しかない、と決めた。

 英語と漢字を融合させた「英漢字(ええかんじ)」は、大学の授業中に偶然浮かんだ。「truth」という単語を見ていたら、「真実」という漢字が見えてきた。この新しい文字を広めるために、どうすればいいか。まずは自分が有名になろうと思って、お笑いのオーディションを受けた。思い出すと恥ずかしいこともしたけど、その経験があるから、今がある。

 広陵のエース野村君が、9回に追いつめられている。孤独なマウンドと、書の創作は似ている。みんなの期待から、逃げ出したくなる。あれだけ練習したのに何でできないんだろう、って焦る。誰かが少し息を抜いてあげれば、落ち着けると思う。

 どんなスターだって、毎回本塁打は打てない。華やかな一発の裏で、数え切れないくらいバットを振っている。書も、完成するまで何枚も捨てる。もったいないと言われるけど、ファウルや内野ゴロは見せられない。

 自分を客観視できないと、いい字は書けない。そういう意味で、イチロー選手には芸術家っぽさを感じる。まだ未発表だけど、彼に刺激を受け、「hit」のつづりで「打」と書く英漢字ができた。

 2月には男の子が生まれる。体が弱く、子供は無理とあきらめていた自分には、奇跡のよう。今日ここに来て、やっぱり野球をやらせたいと思った。この歓声、雰囲気を、おなかの中で感じてくれたかな。




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