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高校野球コラム

(beランキング)忘れえぬ夏の高校野球名勝負 接戦、延長、サヨナラ…

2010年08月03日

 第92回全国高校野球選手権大会が7日に開幕します。野球に興味があってもなくても、記憶のどこかに、あまたある夏の甲子園の熱闘が、いくつか忘れがたく刷りこまれているはず。戦後の名勝負ベスト10を選んでみました。(保科龍朗)

 野球にのめりこんでいるわけでもないのに、兵庫県の公務員の女性(41)の脳裏にはいまだに、1979年の夏の甲子園球場で、ナイター照明を浴びながら精根尽き果ててうずくまっている星稜(石川)の選手たちの残像がはりついていて、不意にフラッシュバックするという。

 第61回大会の3回戦、春夏連覇を狙う箕島(和歌山)と星稜の対戦は1対1のまま延長戦へ。先攻の星稜が12回と16回に1点ずつ勝ち越すと、そのつど箕島が同点本塁打を放って追いすがる奇跡のドラマが演じられた。試合開始から3時間50分、午後8時になる寸前の18回、箕島がサヨナラヒットで決着をつけた。

 「午後6時からNHKの教育テレビで子ども番組を見ようとしたら、あの試合がリレー中継されていて、呼吸もおぼつかないほどの緊迫感に羽交い締めされてしまったように最後まで見届けてしまいました。その記憶を思い起こすたび、ありったけの時間と努力を費やしても報われなかった敗者の人生の意味を考えこんでしまいます」

 今回のランキングでは4位だったが、この星稜―箕島戦は高校野球史上最高とたたえられる名勝負だ。ベスト10のうち7試合(1〜4、6、9、10位)は延長戦で、実力伯仲の死闘であるほど、駆け引きや運不運の差に見ごたえある感動が生まれるようだ。

 ◆延長の死闘、伝説の敬遠

 星稜―箕島戦のほか、徳島商の投手だったタレントの板東英二さんが延長18回引き分けの初戦と再試合の計27回を1人で投げぬいた58年準々決勝の徳島商―魚津(富山)戦(10位)、悲運の投手、三沢(青森)の太田幸司さんを甲子園のアイドル第1号にした69年決勝の松山商―三沢戦(2位)が昭和の延長戦「三大名勝負」といえるだろう。

 平成のそれの筆頭は、ランキング1位になった06年決勝の駒大苫小牧(南北海道)―早稲田実(西東京)戦だ。「大阪出張の日が再試合と重なり、前夜から泊まって早朝に入場券を買い、会議をこなしてから、昼食の誘いを振り切り甲子園へ。早実の斎藤佑樹君が、駒大の最後の打者になった田中将大君を三振で打ち取った光景は、あまりに気持ちのよい空振りだったので、いまだに目をつぶると鮮明によみがえってきます」(千葉、35歳男性)

 98年に超高校級といわれた松坂大輔投手を擁した横浜は、準々決勝でPL学園(大阪)を延長17回の激闘の末に倒し、準決勝の対明徳義塾(高知)戦では0対6の劣勢を8、9回で大逆転。決勝の対京都成章戦は、59年ぶりに決勝ノーヒット・ノーランを記録し、後世に語り継がれる優勝までの道のりになった。

 星稜の松井秀喜選手が5打席連続敬遠された92年2回戦の星稜―明徳義塾戦(8位)も、屈折した意味で名勝負だった。「松井を見るために甲子園で観戦していましたが、ブーイングで球場全体が異様に騒然とする中、勝負にかける明徳のすさまじい執念が伝わってきて、思わず身震いした。あのときもいまも、全打席敬遠は監督が選手を大人としてあつかった証しで、間違ってはいないと確信しています」(大阪、43歳男性)

 ■RANKING

 1位 駒大苫小牧−早稲田実(2006年決勝) 1069票

 史上2校目の3連覇を狙う駒大苫小牧の田中(現・楽天)と早実の「ハンカチ王子」斎藤の投手戦は1対1で延長15回引き分け。再試合を早実が制した

 2位 松山商−三沢(1969年決勝) 992票

 松山商・井上、三沢・太田が死力を尽くした投手戦は0対0のまま延長18回で引き分け。史上初の決勝再試合を松山商が4対2で制し、4度目の優勝を遂げた

 3位 横浜−PL学園(98年準々決勝) 632票

 横浜の松坂(現・レッドソックス)にPLが食い下がったが、延長17回、横浜が9対7で突き放す。完投した松坂はガッツポーズする気力もなかった

 4位 星稜−箕島(79年3回戦) 577票

 箕島が恐るべき粘りを見せ、延長18回、引き分け寸前に奇跡のサヨナラ勝ち

 5位 池田−PL学園(83年準決勝) 524票

 3季連続優勝を狙う池田の野望を桑田、清原のPL学園が粉砕

 6位 作新学院−銚子商(73年2回戦) 464票

 銚子打線が作新の「怪物」江川に立ち向かい、延長12回にサヨナラ勝ち

 7位 早稲田実−横浜(80年決勝) 416票

 首都圏対決は早実・荒木と横浜・愛甲の投げ合い。6対4で横浜が優勝

 8位 星稜−明徳義塾(92年2回戦) 374票

 星稜は4番の松井(現・エンゼルス)が5打席連続敬遠され2対3で敗退

 9位 東邦−東洋大姫路(77年決勝) 284票

 東邦の「バンビ君」坂本が力投したが、サヨナラ本塁打で敗れる

10位 徳島商−魚津(58年準々決勝) 260票

 板東、村椿の投げあいで延長18回引き分け。再試合は徳島商勝利

<調査の方法> 朝日新聞の無料会員サービス「アスパラクラブ」のウェブサイトで6月にアンケートを実施。戦後の全国高校野球選手権大会から編集部が厳選した約40試合を選択肢にし、2729人が回答した。11位以下は(11)京都成章―横浜(98年決勝)(12)広陵―佐賀北(07年決勝)(13)PL学園―桜美林(76年決勝)(14)池田―広島商(82年決勝)(15)横浜商―PL学園(83年決勝)(16)PL学園―高知商(78年決勝)……と続く。


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