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球場模様

スタンド白熱 熊本大会、猛暑日の決勝

2007年07月28日

 68校の頂点に挑む球児たちを真夏の日差しが照りつけた。「猛暑日」となった熊本市の藤崎台県営野球場では一塁側スタンドに九州学院、三塁側スタンドに八代東、それぞれの生徒や保護者らが陣取って声援を送り、試合の行方を見守った。逆転に次ぐ逆転。白熱した展開に皆が興奮した。

写真優勝の瞬間、大歓声がわき起こった三塁側スタンド。野球部員らは「1番」と叫びながら人さし指を突き上げた=藤崎台
写真7回裏、九州学院が逆転。一塁側スタンドでは応援する生徒たちが喜び合った=藤崎台

■八代東

 1回表 先頭打者の白石選手が左翼への二塁打を放ち、4番友田選手の右前安打で先制。応援席を埋めた生徒や保護者らは竹の棒を打ち鳴らしながら総立ちに。白石選手の母佳寿美さん(36)は「息子は自宅を出る時、『甲子園に行くぞ』と言っていた。ものすごく気合が入っている」。

 2回表 安打や相手の失策などでさらに3点追加。大声援とともに約300本の青いメガホンが揺れた。この日のために急きょ、学校が東京から取り寄せたという。板橋幹夫校長は「この調子だ。応援でも負けられない。みんな一丸、みんな一丸だ」。

 4回裏 野田投手が丁寧な投球で0点に。73年夏の甲子園時のエース潮谷広義さん(51)は「足を負傷しているにもかかわらず、気持ちが伝わる投球だ。このまま頑張ってぜひ、34年ぶりに甲子園へ」と力を込めた。

 6回裏 連打を浴び1点差に迫られた。野田投手の母美奈子さん(42)は立ち上がり「恭平、まだ勝ってるよ。気持ちで負けるな。攻めろ、攻めろ」。大声で励ました。

 7回裏 失策も重なって逆転を許した。「これからだ」「あきらめるな」とあちこちから声が飛ぶ。京都府から駆けつけた関西同窓会会長の田中邦博さん(64)は「同窓生300人以上が(甲子園出場を)待っているんだ」。応援団長を務める野球部3年の吉田龍世君は「このまま終わるチームじゃない」と気合を入れ直した。

 8回表 谷岡選手の中前安打で逆転。「ヤッター、ヤッター」と絶叫が響く。竹の棒が打ち鳴らされ、メガホンが揺れる。父竜也さん(43)は「ハートだけは切らさないよう言ってきた。小4からの野球小僧の本領を発揮してくれた」。感激で涙をためた。

 9回裏 2死から「あと1人、あと1人」の大合唱。相手打者が二ゴロに倒れた。応援席は抱き合ったり、泣きながら絶叫したり。どこからともなく「バンザーイ、バンザーイ」。女子ソフトボール部主将の3年古閑久美子さんは「また、泣かされた。格好良すぎる」と目が真っ赤。板橋校長は「素晴らしい、素晴らしい。子どもたちから学ぶことばかりだ」と声を詰まらせた。かつて甲子園の土を踏んだ潮谷さんは「34年間、待っていた瞬間。甲子園でもやってくれるはず」と感無量の表情だった。

■九州学院

 1回裏 「甲子園に行くぞー!」。野球部1年の萩原良太君(15)のかけ声に合わせ、赤いメガホンが揺れた。中高一貫校で、応援席は生徒や保護者ら約2000人で埋まった。先制されたものの、「まだまだこれから」と熱気は上がる一方だ。

 2回表 エラーも絡んで3点追加を許したが、悲壮感はない。一番前で声援を送っていた高校3年の友永侑希さん(18)は「九学はこれから。連投で疲れているエースを、みんなが援護してくれるはずです」。

 3回表 一塁から少し離れたバックネット裏。98年の熊本大会優勝メンバー嶋田結城さん(27)ら野球部OBが見守っていた。仕事が休みの日は練習にも参加してきた。

 嶋田さんは「みなバットもそこそこ振れている」と前向きだ。福田投手が三者凡退に打ちとった。「守りからリズムをつくっている。エラーはあったけれど、これからつながってくるはず」

 6回裏 大山選手の左前安打などで1点差に詰めよった。反撃のきっかけをつかんだ息子の一打に、父智徳さん(42)は「昨晩、『自分を信じて攻めの気持ちでいけよ』と伝えたのがよかったかな」とうれしそうだ。

 7回裏 水田選手の中前安打に犠打や死球を絡めてついに逆転。喜びの声にわく応援席を、中学校のブラスバンド部の演奏する「九学サンバ」が盛り上げる。部長の中学3年の村上維(ゆい)さん(14)はアルトサックスを手に「選手が元気になるように吹きたいです」。

 8回表 4点を許して逆転された。チアダンス部部長の荒木美妃さん(17)は声をからし、「がんばれー」と声援。「今年は『さくらんぼ』を笑顔で踊りたい」

 9回裏 最後の打者がうちとられた瞬間、ショックでその場に座り込む人も。だがすぐに「ありがとう」という声と拍手が選手に送られた。福田選手の弟で小学5年の泰地君(10)はタオルで涙をぬぐいながら「悔しい」と一言。「お兄ちゃんに頑張ったねって言いたい」

 試合後 九州学院の内村公春院長(58)は「お互いミスはあったけれど、いい試合でした。この経験は、選手の後の人生でいきてくるでしょう」とねぎらった。


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