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ここから本文エリア けが克服、全力の夏 日向学院・野辺幹蔵主将2009年07月17日 <宮崎大会>1点を追う9回表、最後の打者の打球は勢いよく右翼へ。全力で走り込み、白球をグラブに収めた。笑顔でベンチに駆け込み、「この回、絶対逆転するぞ!」。
後がない裏の攻撃、2死一、二塁。一打同点の場面で身を乗り出すようにベンチのさくに手をかけた。「打て!打て!」。ほおを上気させ、がむしゃらに叫び続けた。 しかし、1球目をはじき返した打球は勢いよく投手のグラブに入り、試合終了。ベンチから飛び出し、本塁脇に転がる最後の打者のバットをさっと拾い上げた。 1年の6月、雨上がりの練習帰りに自転車をこいでいて転倒し、肩を負傷。以来、けがが絶えなかった。それでも自分を成長させたいと、新チームでは主将に自ら手を挙げた。プレーで引っ張れない分、ベースコーチを引き受けたが、週に数回は放課後、大学病院のリハビリ科に通った。何か役に立ちたいと、グラウンドでは率先して準備や片づけを引き受けた。 2年生で4番の川崎は「先輩を見て、正直、すげえな、自分ももっと頑張らなきゃなって思った」と振り返る。 「声じゃなく バットを振ってベンチ入り」。5月、最後の夏にかける思いを、そう一句に込めた。願いは叶(かな)い、大会直前に肩が復調。右翼手として先発が決まった。打席では全力でバットを振り抜き、守備では誰よりも大きな声で鼓舞した。安打や犠打で、得点にも貢献した。 だが、結果は惜敗。悔しい。でもそれ以上に胸に残った思いがある。「3年生全員がベンチ入りし、力を尽くして戦えた」と。試合後、両手で顔を覆った川崎に対し、「今までありがとな」。「来年は先輩たちの分も絶対に勝ちます」。顔を上げた川崎の顔には、そう書いてあった。(松井望美) |