|
ここから本文エリア 屈指の右腕、痛み限界 降板、サヨナラで涙 福岡工・三嶋投手2008年07月21日 <福岡大会>
2点リードで迎えた5回、福岡工の三嶋一輝投手(3年)は、左腰に違和感を感じ始めた。4回までは縦横のスライダーがよく切れ、6奪三振で被安打1。この回も三振を一つ奪い、三者凡退に抑えた。 だが、6回、先頭打者に中前安打を許した。次打者を三振に打ち取ったものの、連続安打などで同点に追いつかれた。 違和感は痛みへと変わっていた。腰をかばうことで体のバランスが微妙に崩れた。この日143キロを記録した直球の制球が乱れ、得意のスライダーに頼ったが、こちらも制球ミスが出た。右ひじにも痛みが走った。それでも、表情一つ変えずに7回を投げ終え、右翼手に回った。 腰に痛みが出たのは5月上旬。だが、一部の部員にしか伝えなかった。「故障を知られれば、相手も押せ押せで来る」。週1回、痛み止めの注射を打ち、腰にコルセットをはめて練習を続けた。 故障が完治しないまま臨んだ福岡大会。初戦から制球に苦しみ、篠原拓矢投手(3年)に託す場面が増えた。 この日は降板後、下見世宏樹監督から「勝ち越したら、またマウンドに行くぞ」と言われていたが、9回の守備が終わったところで、自ら交代を申し出た。腰の痛みが限界に達していた。 試合は延長14回、サヨナラ本塁打で敗れた。エースとして、試合終了の瞬間に、マウンドに立てなかったことを悔やんだ。球場外の駐車場で、帽子のつばで両目を覆い、1人泣き続けた。 「勝ち負けは良いから、頑張ってくれればうれしいね」 2カ月前、野球好きの祖父が亡くなった。見舞いのたびに、こう言われた。「負けてごめんね」と報告するつもりだ。やっぱり、甲子園に行きたかった。 |