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ここから本文エリア 一球のミス「ごめん…」 PL学園・里村翼主将2008年07月28日 <南大阪大会>
延長12回裏1死二塁。PL学園のショート里村翼(3年)が猛然とダッシュし、センター前に抜けそうな打球をつかみ取った。だが、「絶対アウトにしてやる」という強い思いが手元を狂わせる。それた送球は一塁側ベンチに向かって一直線に転がった。 スタンドへのあいさつを終えた里村は、ベンチで泣き崩れた。「ごめん、みんな。ごめん、ごめん……」。潤んだ声で何度も繰り返した。「お前はええキャプテンやった。最後まで胸張れよ」。緒方凌介(3年)が肩をたたいた。「来年、絶対甲子園に行きます」。村田穏行(2年)が決然とした口調で話しかけた。里村は嗚咽(おえつ)を続けていた。 炎天下の延長戦。試合時間が3時間を超えた頃、里村の表情がゆがみ始めた。「ケガのせいにはしたくない」と言うが、左足首はテーピングでぐるぐる巻きにしていた。 夏の大会が始まる3週間前、里村はベースランニングの練習中に足首をひねって靱帯(じんたい)を切った。「キャプテンの自分がケガしていることを相手に知られたくない」。完治していない足首を固定し、試合に出続けた。 医師からもらった痛み止めの薬は、毎晩寝る前にだけ飲んだ。「試合前に飲むと動きが鈍くなる」からだ。里村はただ、勝ちたかった。 「やるからには1番になりたい」と考えて名門PL学園に進んだ。それなのに、チームは入学直前の選抜大会以来、甲子園に出ていない。あの舞台に立ちたい。あの舞台で勝ちたい。その一心で厳しい練習をくぐり抜けてきた。 延長10回表、直球を強振して左越えに二塁打を放ち、砂原隆史(3年)の適時打で勝ち越しのホームを踏んだ。だがその裏に追いつかれ、決勝点は幻に終わった。 熱戦の余韻が残る一塁側ベンチ前。里村は泣きはらした目で気丈に取材に応じた後、誰もいないグラウンドに向かって深々と一礼した。ともに戦った仲間に「ありがとう」という気持ちと、「ごめん」という気持ちと……。いろんな思いがごちゃまぜになって、しばらく頭を上げられなかった。=敬称略 (左古将規) |