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第1回全国中等学校優勝野球大会の始球式=豊中グラウンド |
参加校は、連合チームなどへの移行もあって、昨年より22校少ない4059校だったとはいうものの、部員数では797人上回った。さらに喜ぶべきはその「継続率」。82.2%というのは過去最高だとのことだ。
第1回大会が予選で73校、本大会10校の参加だったのだから、それからここまでの歩みの大きさが知られる。
しかし、そんな数字より何より重要だと思うのは、この大会が一貫してスポーツマンシップに基づくフェアプレー精神を育て、称揚してきたことだ。どの地にあっても、だれもが「がんばれ」と球児たちを励ましはしても、見苦しい手段を取ってまでして勝てとは求めなかった。
各地にあった大小さまざまな大会を総括し、全国を一つに束ねる催しとしたことの意味は大きかった。選手たちには、自分たちの野球がどの程度のものなのかを、全国レベルにおいて知るきっかけになったし、常に新たな課題に気づかされる機会となった。そして、最初にして最高の全国的な舞台がこれであるなら、それに向かって日頃から自分を最高に高めておくよう努力しようという気持ちを全員に醸成せしめたことがなによりよかった。
第1回大会では、優勝した京都二中に対し、準優勝校の秋田中学が全員で万歳三唱を送っているのも見事だし、秋田中学が夜行で故郷へ帰る際には、京都二中のキャプテンたち代表者が京都駅まで出向いて見送っているのも美しい。大会はそうして始まったのだ。
これを見ても、スポーツマンシップを育てるには、それ相当の大きな舞台が必要だとわかる。人間はやはり環境の動物なのだ。
6月、今年の地方大会が沖縄で始まったころ、私はアメリカ東部の古い町で、ヴィンテージ・ベースボール(古式野球)の説明を、そのコミッショナーからうかがっていた。フェアプレーを中心に、昔の精神を呼び起こしつつプレーするそのゲーム。全国に約300もあるというチームから8チームを選んで、もうすぐ第2回ワールドシリーズを行うという。
汚辱にまみれた大リーグへのアンチテーゼ(反証)というのがそのうたい文句で、「グラウンドに唾を吐くこともないし、相手をヤジることもしない。アンパイアを突き飛ばすこともなく、ステロイドとも無縁……」と、クリーンさを訴えては、それがいかに貴重なものなのかを誇るのを聞いているうちに、ついポロリと言ってしまった。
「それって、わざわざヴィンテージ・ベースボールなどといって、改めて演じて見せなくても、日本に来てみれば、それはそのままありますよ。それも保存会的なものではなく、生きたままで、90回も続く大会となって……」
8月、今度の甲子園大会の写真を、証拠に送るつもりだ。
1936年和歌山県生まれ。ノンフィクション作家。慶応大文学部卒。日本ペンクラブ、アメリカ野球学会、スポーツ文学会会員。84年潮ノンフィクション賞、93年ミズノ・スポーツライター賞など受賞。メジャー・リーグや黒人リーグなどのアメリカ野球や日米野球史に関する著書・訳書多数。近著は「松井秀喜の『大リーグ革命』」(2003年講談社)「野球とシェイクスピアと」(2006年論創社)など。
>>主な著作
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