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佐賀ニュース

気迫178球、支えた絆 佐賀学園・北村投手

2007年07月19日

 178球目だった。

写真佐賀学園の北村吉亘投手

 3―3で迎えた延長14回。1死三塁から捕手の要求通りに投げた内角高めの直球が、金属バットの甲高い音とともに、中前に運ばれた。打たれた瞬間、「抜けた」と分かる強い打球だった。

 サヨナラの相手走者が跳びはねながら本塁を踏み、選手に迎えられるのが見えた。守備についている仲間が泣き崩れるなか、北村はうつむきながら、何も言わずにマウンドを降りた。

 涙はなかった。「後悔するようなプレーは絶対しない」。大会前から、「夏が終わっても泣かない」と、心の中で決めていた。

    ◇

 10回を越えたころから、右手の人さし指と中指にしびれを感じていた。球威が落ちているのが自分でもわかった。

 それでもこの試合、仲間の好守備で、サヨナラのピンチを何度も耐えてきた。9回には無死一、三塁から連続ファウルフライと左翼飛。11回も1死一、二塁から狙い通りの併殺に打ち取り、13回には同じく1死一、二塁のピンチを連続三振で切り抜けた。

 ピンチになるたびに、仲間がマウンドに集まって声をかけてくれた。

 「後ろを信じて投げろよ」

 「打たせていいんだぞ」

 全員で帽子を取り、つばに書かれた文字を確認し合う。北村の帽子に書いてあったのは「絆(きずな) 心は一つ」だった。

    ◇

 北村は試合後、互いに延長戦を投げ合った佐賀商のエース、吉田潤治と握手を交わした。吉田とは以前からの知り合い。お互いの中学校も近く、練習試合で対戦したこともあった。

 「絶対優勝して、甲子園に行ってくれ」

 北村が声をかけると、吉田はうなずいてくれた。こらえていた涙が、少し出そうになった。

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