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ここから本文エリア 金光大阪(大阪)ニュース 金光大阪 大歓声、初舞台に幕2007年08月11日 三塁側アルプス席は、5000人を超える金光大阪の応援団でいっぱいになった。 試合開始のサイレン。マウンドに向かう植松優友(まさとも)君(3年)を、母睦美さん(43)がまぶしそうに見つめた。「中学の頃から『甲子園に行きたい』と話していたけど、本当に出られるとは思わなかった。夢みたい」 3回表。満塁の危機を0点で切り抜けた。投手コーチの北森恵介さん(27)は「ピンチになればなるほど力を出すのが植松だ」。今の3年生の入学と同時にコーチに就任し、左の植松君、右の弓削(ゆげ)翔平君(3年)ら層の厚い投手陣を育ててきた。「今日の植松はフォームが躍動してる。甲子園のマウンドを楽しんでるようだ」。教え子の姿に目を細めた。 4回裏、小松雅和君(3年)の打球は右前安打となり、二塁走者がかえって先制。拍手と歓声がアルプス席にこだました。父久寿夫(くすお)さん(46)は「試合はまだこれから。2点目、3点目と続いてほしい」とほころんだ表情を引き締めた。 ◇ アルプス席の最前列には、赤いはちまきを締めた野球部員が陣取った。部員はマネジャーも含めて131人。3年生も29人がベンチ入りを逃した。応援団長の出口怜(さとる)君(3年)も本来は左翼手。6月下旬のメンバー発表の日は、2時間泣き続けた。仲間から「お前しかおらんやろ」と言われ、応援団長に立候補した。「待ちに待った試合。全力で、力を込めて応援する」 6回表。1点差に詰め寄られ、なお2死一、二塁のピンチ。出口君の指示で応援団が立ち上がった。「がーんばれ、マサトモ」「がーんばれ、モウリ」。守るメンバー一人ひとりに悲鳴のような声援が飛ぶ。だが、打球は右中間を破り、2人の走者が次々に本塁へ。「逆転や……」。スタンドは数秒間、しーんと静まりかえった。 「まだいける、まだいける」。沈黙を破ったのは部員の樋野公一君(3年)だった。大阪大会もスタンドから仲間のプレーを見守った。9回裏に逆転サヨナラ勝ちした今宮工科との5回戦。延長14回を制した東大阪大柏原との準々決勝。仲間たちは接戦をくぐり抜けるたびにたくましさを増して見えた。まだいける。まだ逆転できる。 「がーんばれ」。大声援がまた始まった。 ◇ 9回表。1点を失い、3―6。「大丈夫や!」。マネジャーの佐伯悠里子さん(3年)が声を張り上げた。「信じてる。絶対逆転できる」。9回裏、目の前のフェンスに両手でしがみつき、打席に向かう永田佑介君(3年)を見つめた。 だが、祈りは届かなかった。最後の打者が一ゴロに倒れ、試合終了。泣きじゃくるマネジャーの鋤納(すきの)芽衣さん(3年)は、声を振り絞って言った。「甲子園に連れてきてくれてありがとう。みんなにそう言いたい」 応援団長の出口君は、あふれる涙を左腕でぬぐった。「この131人で野球をできてよかった。後輩は絶対甲子園で1勝して、僕たちの借りを返してほしい」 |