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三重ニュース

明暗分けた6回の攻防 上野工・高田裕貴捕手

2007年07月20日

 上野工の捕手高田裕貴君(3年)は、四日市工のベンチを見ると、頭が混乱した。0―2とリードされた6回表2死二、三塁の場面。

写真ピンチでマウンドへ駆け寄った上野工の捕手高田裕貴君=霞ケ浦

 打者は今枝勇介君(3年)。小野日出士監督は帽子のつばや肩などを素早く触ってサインを送っていた。今枝君は、第1打席で送りバントを決めている。「セーフティースクイズか?」と高田君は思った。

 四日市工には3回、初安打の走者をスクイズでかえされ先取点をとられた。バントの打球は投手と内野手の中間を突いてくる。連係が乱された。

 その後、主戦の山本透弘君(3年)が踏ん張り、上野工は5回に高田君の初安打を足がかりに一打逆転の好機もつかんだ。得点にはつながらなかったが、流れは上野工へ傾いたかに見えた。

 そして、6回。四日市工の先頭打者に内野安打で出塁され、2打者連続で野手の合間を突く絶妙なバントが内野安打となり無死満塁。スクイズを決められ2点目を許してしまった。

 そして迎えたのが、今枝君だ。

 またバントの構え。「スクイズ」と思った瞬間、引かれたバットの陰に投球が一瞬、隠れた。その瞬間、球はヘルメットの頭頂部をかすめてバックネットへ。三塁走者が本塁を踏み、今枝君は四球となった。次打者宮永将名君(3年)も右翼越えの適時三塁打。この回4点を失った。

 上野工は5点を追う9回、高田君は先頭打者で中越え二塁打。次打者も安打で無死一、三塁の反撃の好機をつかんだ。打席は山本君。「楽にな。笑っていけ」。何とか自分で本塁を踏みたかった。だが、好機は生かせなかった。

 四日市工に、徹底的にバントでやられた。バントによる犠打5本、10安打のうちバント安打は4本。上野工の八木龍志監督は「1回から執拗(しつよう)にバントをされ、守備をかき回され、攻撃のリズムも出なかった」と脱帽した。小野監督は「山本君は力がある。打って勝てる投手ではないと思った。バントでつないで走者を進めようと思った」と話す。

 でも、高田君は試合後、笑顔を見せた。「相手にのみ込まれた。あんな攻撃は初めてでした」「何とか四日市工を見返したかった」。だんだん目に涙が浮かび、振り絞るような声になった。

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