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ここから本文エリア 桐光学園(神奈川)ニュース 「つなぐ4番」土壇場で本領 桐光学園・上田長嗣選手2007年08月15日 延長10回裏。差は2点。1死一、二塁から桐光学園の4番、上田長嗣君(3年)は、2―0から、真ん中低めに入ったスライダーを思い切り振り抜いた。
快音を残して、鋭い打球が左翼手の後方へ飛んでいく。二塁走者に続き、一塁走者も本塁を駆け抜けた。 「ウオーッ」 2万4000人の観衆で埋まった球場に、歓声が地響きのように広がった。 大きく両手を広げ、天を仰いでガッツポーズをした上田君は、「つないで逆転することだけを信じていた」と振り返った。 4番を打つようになったのは神奈川大会5回戦の鎌倉学園戦からだった。それまでも確実な打撃で中軸を打ってきたが、長打を量産するタイプではない。最初は冗談だと思い、スコアボードの名前を見て「間違ってるよ」とチームメートと笑ったほどだ。 野呂雅之監督は、上田君を4番にした理由を「勝負強いから」と話す。その言葉には、「あと一本」が出ないで負けた昨秋の関東大会と今春の県大会の反省があった。 「打てないときは、どうやって点を取るか」。選手みんなで話し合い、機動力を生かしたつなぐ野球を目指してきた。 上田君は言う。「足をいかせば、内野ゴロでも点がとれる。そんな桐光学園の野球には、自分のようなつなぐ4番が合っているのかも」。神奈川大会は準々決勝から接戦続きとなったが、しぶとい打撃と選球眼の良さで勝利に貢献した。 この日も初回2死二塁からファウルで粘って右翼線に先制の適時二塁打を放つ。4回は先頭打者で追加点につなげる四球を選んだ。そして、10回の同点打。 「今日は初めて4番らしい仕事ができた」 延長11回に4点を取られ、その裏に1点を返したが反撃も届かなかった。最後の打者がアウトになった瞬間、目から涙があふれ出た。 「甲子園は思ったよりもすごくいい所だった。野球ってこんなにいいもんなんだって思いました」。ひとしきり泣いた後、澄んだ目が笑っていた。 |