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神奈川ニュース

野球・漫才「甲子園」の夢追い 市ヶ尾4番の八木選手

2007年07月13日

 9回。差は8点。それでも勝てると信じていた。先頭打者が四球を選ぶ。市ケ尾の4番八木博成君(3年)は、「とにかく後ろにつなごう」と、打席に入った。外角の直球を逆らわずに右翼に運ぶ。好走塁で一気に二塁へ。一挙5点をかえす猛反撃の口火を切った。

写真笑顔で仲間に声をかける市ケ尾の八木博成一塁手=小田原

 中軸として、バットでチームを盛り上げる八木君には、もう一つの「夢」がある。高校生の漫才やコントで日本一を決める大会に出場することだ。

 1年生の12月の休み時間、サッカー部の同級生とコンビを組み、即興でやった漫才が受けた。コンビ名は「デスクTOP」。八木君はボケ役だ。文化祭や卒業式のレクリエーションにも頼まれて出演。評判も上々で、自信を深めた。

 「誰かが笑ってくれるのって、気持ちいい」。将来は漫才の世界に行けたら、とも考えているが、漫才と同じくらい野球も好きだ。

 打撃センスを買われて昨夏の大会も背番号3でベンチ入りした。しかし、大会直前の練習試合で指を骨折。本番の試合には出られず、チームは2回戦で敗退。ベンチ入り出来なかった3年生に申し訳なくて、涙が流れた。新チーム発足後は、けがが治るまで毎日黙々と走った。支えてくれたのは、仲間の存在だった。

 笑わせるのは大好きだが、グラウンドに入れば漫才のことは考えない。それでも、八木君のまわりにはいつも、笑い声が絶えない。

 この日、点差が広がり、落ち込みかけた仲間に、笑顔で声をかけ続けた。

 試合が終わり、相手校の校歌が流れる中、初めて涙で表情を崩した。「野球をやっていて本当によかった。仲間を信じられてよかった」

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