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神村学園(鹿児島)ニュース

身上の粘り、大舞台でも 神村学園の戦いを振り返る

2007年08月17日

 夏の甲子園初出場で、大阪代表の強豪・金光大阪に逆転勝ちし、初戦を突破した神村学園。彼らの前に立ちふさがったのは優勝候補といわれる東東京代表の帝京だった。15日に行われた帝京との2回戦では、1回に2点を先取したものの、相手の強力打線の前に2―9で完敗。しかし、「自分たちの持てる力を出し切った」と選手たちの目に涙はなかった。彼らの戦いぶりを振り返った。

写真試合に敗れ、グラウンドの土を集める神村学園の選手たち=阪神甲子園球場で

 帝京戦の前に、山本監督は選手たちにこう呼びかけていた。「チームは県大会から進化を続けている。次はお前たちがどんな姿を見せてくれるか楽しみだ」

 地方大会では準々決勝までは先制しての危なげない試合運びで勝ち上がったが、鹿児島実との決勝では、1点を追い掛ける9回2死からの逆転劇で甲子園への切符をつかんだ。そして初戦の金光大阪戦。相手投手は週刊誌のトップを飾るなど、前評判では劣勢の雰囲気の中でも、神村学園の選手たちは落ち着いていた。

 3点を先取される試合展開だったが、「チームの持ち味である粘り強さが出せた」と山本監督が言うように、そこから打線が底力を見せ、大舞台で逆転して夏の大会初勝利を挙げた。「チャレンジャー精神で当たってくだけろ」と対知耕平主将(18)は何度も繰り返していた。

 帝京戦では、機動力を絡めた攻撃に力の差があったが、相手投手が不安定だった1回に、4番に座る2年の鶴田都貴君(16)が豪快な2点本塁打を放って、球場をわかせた。

 また、二塁手渡辺健士君(18)、遊撃手東勝彦君(17)、右翼手西貴広君(17)らの好守は、何度もピンチを救った。「甲子園の舞台で自分たちの野球ができた」と試合後、選手たちは口をそろえて白い歯を見せた。

    ◇

 金光大阪との初戦の日。選手たちは緊張した様子も見せず、旅館を出ていった。その精神力の強さは、1年間の苦しい野球生活を乗り越えての結果だった。

 昨秋、前監督が部員への暴力事件で謹慎になり、実質的に監督不在の期間が3月まで続いた。5月は特待生問題で公式戦に出られず、甲子園にたつ前日には選手の1人が行き過ぎた暴力的指導があったとして出場停止になった。

 対知主将は8月2日から急きょ、主将になった。「いろんなことを乗り越えてきたんだから」。甲子園入りしてすぐに選手たちは元気を取り戻した。「もう何も失うものはなかった」と対知主将。チームは一層気持ちをひとつにした。

    ◇

 関西などの県外出身者が多い中、チームを陰に陽に引っ張ったのは、エース盛義達君(17)と対知主将の奄美コンビだった。3歳からお互いを知っている2人は小・中とバッテリーを組んできた仲だ。2人で島を出て甲子園を目指した。寮生活と厳しい練習に逃げ出したいときがあっても、支え合った。

 その2人が、1回戦の9回にバッテリーを組んだ。「最後、対知だから安心して投げられた」と盛君。対知主将は「一生の思い出になった」。

 2人にとっては、あこがれの舞台、甲子園での格別の思い出になった。

    ◇

 創部5年目にして夏の甲子園初出場だった神村学園。この夏の戦いを経て、すでに来年を見据えている。

 正捕手を務めた鶴田君と、背番号18ながら先発で一塁を守った小原圭人君(17)はともに甲子園の大舞台で本塁打を放った。負けん気も強く、物おじしない2人。「来年はこの2人が引っ張っていってくれる。安心して引き継げる」と対知主将は話した。


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