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鹿児島ニュース

9人全員最後は笑顔 樋脇主将・田中君

2007年07月06日

 数え切れないほどキャッチャーマスクを取って、声を張り上げた。

写真声を張り上げ、ベンチに戻る田中祐孝君=県立鴨池

 バッテリーを組むのは2年生投手鍛治屋健太君(17)。180センチ、55キロの細身のエースはこの日が公式戦初登板だった。1回から連打を浴び、ピンチの連続。歩を進め、グラウンドに散らばる仲間に指示を出した。

 スコアボードの数字が目まぐるしく変わった。だが、アウトを一つ取るたびに思った。

 「みんなが一つになって、一球に集中するっていいな」

 母校は入来商との統廃合が決まり、今年は1年生が入ってこなかった。昨年が、3学年そろっての最後の出場だった。

 秋以降は約5キロ離れた入来商との合同練習に毎日参加、練習試合も連合チームで出たが、募る思いがあった。

 「連合チームになると、一緒に野球をやってきた仲間全員で一緒に試合に出られない」

 4月末、神田史郎監督(23)に単独での出場を志願した。

 3人不足していた部員はみんなで勧誘した。5月、9人がそろった。

 3回裏、最後に入部した2年生の左翼手・川畑崇君(16)がフライをこぼした。「切り替えていくぞ」と声を掛けた。ベンチからも監督が「おしいぞ」。

 ファウルボールを監督自らが取りに行く姿もあった。選手が出払ったベンチは監督とマネジャーの2人だけだった。

 試合後、監督は言った。「感謝の気持ちを忘れるな。仲間が1人でも欠ければ出られなかった」

 帰路、球場前で肩を組んで記念写真を撮った。全員がはつらつとした、まぶしい笑顔だった。


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