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石川ニュース

伝統の猛練習、5回に開花 星稜

2007年07月30日

 5回裏、先頭打者の平野は今大会、4試合に先発出場していながら無安打。練習ではトンボで素振りをさせられた。「投手の負担を軽くしてあげたい。自分が出れば、あとは島内がかえしてくれる」。ヘッドが重いトンボを振りながらつかんだ感触だ。それを思い出し、外角のカーブを振り切った。打球は右翼線へ転がり、平野は二塁に滑り込んだ。星稜の5回の攻撃の皮切りになった。

写真野々市明倫―星稜 5回裏星稜2死二塁、中井の適時打で二塁走者橋本が生還、9点目を挙げる。次打者新井(8)=県立

 次の島内は、敵失で出ると俊足を生かして盗塁を決めた。普段は感情を表に出さないおとなしい性格だ。昨秋に主将になったとき、「打撃でチームを引っ張ろう」と思った。だが、3回戦までなかなか調子が上がらなかった。それでも主将の責任がある。打撃以外でもチームに貢献しようと、声を出してチームを盛り上げた。大会後半からようやく調子を上げ、3回にも右翼フェンス直撃の三塁打を放って大きくガッツポーズをしてみせた。「甲子園に行きたい」。強い気持ちが島内を変えていた。

 チームは5月と6月の合宿でうさぎ跳び、石段ダッシュを繰り返した。大会前には伝統の「鬼ノック」と呼ばれる特訓もした。「苦しくて逃げ出したいと思うこともあった。それを乗り越えて、チームが一つになった」と、島内は言った。

 続く北風が四球を選び、迎えた無死満塁の好機に打席に入ったのは2年の丸山。後ろには不動の4番高木が控えている。「つなげば、絶対に点を入れてくれる」。先輩を信じて外角の直球を思いきりたたくと、走者一掃の3点適時二塁打になった。

 捕手橋本は5回表に邪飛を追いかけて跳ね返ったボールを鼻にぶつけ、治療を受けた。試合は一時中断。橋本はいつも笑顔でプレーする。治療から戻ったときも鼻にティッシュを詰めながら満面の笑み。けがで考えがまとまらない中、無心でバットを振ると左前二塁打になった。星稜は打者一巡の猛攻で、この回一挙5点を奪って野々市明倫を突き放した。

 9回表、エース高木が再びマウンドに立った。連投の疲れを押しての再登板だが、優勝までもう一歩。気迫のこもった球を捕手橋本が受けた。「絶対に打たれない」と確信した。2死走者無し。カウント2―2から全力で投じたフォークに、打者は動かなかった。見逃し三振。マウンドを踏みしめながら、両手を上げて叫んだ。

 伝統校だけに、OBや応援してくれる人も大勢いる。昨夏の石川大会は準決勝、昨秋は北信越大会の準決勝で敗れた。かつての甲子園常連校も、夏は8年連続で出場を逃していた。感じてきた強いプレッシャーをはねのけ、エースとして4番として、チームを優勝に導くことができた。「うれしいの一言。それだけです」。遠かった甲子園に手が届いた喜びに胸がつまった。=敬称略


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