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今治西(愛媛)ニュース

今治西、先制実らず 追加点なく逆転許す

2007年08月20日

 第89回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催)第12日の19日、今治西は準々決勝で広陵(広島)と対戦し、1―7で敗れた。エースの熊代聖人君が、広陵の強力打線に中盤以降にとらえられ、10安打を浴びた。今治西は1回に先取点を挙げたが、3回の満塁の好機などに、あと1本が出なかった。

写真試合に敗れ、ベンチに戻る今治西の選手たち=阪神甲子園球場で

 連投の疲れが、エースの体をむしばんでいた。気温32度。真夏の太陽が照りつけるマウンドは焼けるような熱さだ。

 4回、熊代君に異変が起きた。2死を取った後、2四球を与えてしまう。続く広陵の5番打者に勝負球のスライダーを右前に運ばれ、同点に追いつかれた。さらに6番打者にも左前に適時打を放たれ、逆転を許した。

 前日の3回戦の文星芸大付(栃木)戦で完投した熊代君は、疲れを取るため、宿舎に戻った後、すぐに昼寝をした。昼食後も体を休めることに専念した。「試合が始まれば疲れなど関係ない」と気丈に語り、3回まで打者9人で終わらせる好調な滑り出しを見せた。

 ところが4回以降は突然、腕の振りが鈍くなり、軸足のけりも弱くなった。5、7回には合わせて6長短打を浴び、追加点を許した。

 試合後、熊代君は「気持ちが折れることはなかったが、体がついていかなかった。力んでしまい、制球も悪くなった」と自身の投球を振り返った。

 序盤は今治西のペースだった。1回、中前安打で出塁した浜元雄大君が、犠牲バントで二進。4番の熊代君が、真ん中に入ってきた変化球をすくい上げ、最も深い左中間フェンス直撃の適時二塁打を放った。

 逆転を許した4回、控えの仲西謙君の手袋をはめた武内涼平君が打席に立った。手袋は、甲子園に出発する前、「おれの分も頑張ってくれ」と、練習後にいつも一緒に帰る仲良しの仲西君から託されたものだ。

 武内君は2球目を中前にはじき返して出塁した。愛媛大会の打率は1割8分8厘。甲子園では4試合で7安打を放ち、打率は5割と気を吐いた。

 武内君は「仲西のためにも勝ちたかった。手袋の効果はてきめんでした」。

 熊代君はこの日も投打の大黒柱として、チームを支えた。しかし、決して1人で戦ったわけではない。

 熊代君は、仲間がゴロや飛球をさばいてアウトを取ってくれるたびに、必ずその選手に「ありがとう」と声をかけた。声の届かない外野手には、右手を高々と挙げ、感謝の気持ちを伝えた。三振を取るたび、甲子園のスタンドは沸いた。でも、三振より、仲間がアウトにしてくれる時の方が、ずっといい笑顔を見せた。

 ピンチの時には捕手の潮尚宏君、二塁手の笠原綾太君、遊撃手の福岡惇君らがマウンドに歩み寄り、「気持ちや」「気にするな」と、熊代君を勇気づけた。10安打を浴びても、熊代君を決して1人にはしなかった。

 試合後、1年生の秋からバッテリーを組んできた熊代君と潮君が、甲子園で最後のキャッチボールをした。潮君はこの日、打撃がふるわず、熊代君を援護してあげることができなかった。

 キャッチボールを終え、握手を交わすと、潮君は「ごめん」とつぶやいた。熊代君は笑顔でこう応えた。

 「ありがとう」


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