ここから本文エリア

第89回全国高校野球選手権大会

甲子園だより

著者紹介

神田憲行

(かんだ・のりゆき)

1963年、大阪生まれ、ノンフィクション・ライター。大会終了後に発売される週刊朝日増刊「2007 甲子園Heroes(ヒーローズ)」(朝日新聞社刊)の取材のため、 期間中は甲子園通いの日々を過ごす。甲子園取材歴は13年連続14年目。送りバントよりヒットエンドラン派。三つ目のストライクを内角ストレートで取りに来る投手にシビレる。著書に『横浜vsPL学園』(共著、朝日文庫)、『97敗、黒字。』(朝日新聞社刊)、『八重山商工野球部物語』(ヴィレッジブックス)など。

150キロ投手の思い出  08月15日

 昨日で組み合わせが一巡して、全出場校が登場しました。決着が付いていない試合がひとつありますが。

 そのなかで独断と偏見で大会ナンバーワン投手を選ぶとすれば、仙台育英の佐藤由規投手かな、と。150キロ投手の取材でいちばんの思い出は、横浜・松坂大輔投手です。

 150キロ投手には取材陣が殺到するので、「おしくらまんじゅう」の真ん中に置かれて、囲んだ記者から質問攻めに遭う「運命」になります。そうすると彼らもいつの間にか、知らず知らずと心にバリアーを張ることもあります。

 松坂投手でも、一対一で話を聞くとそんなことはないのですが、囲み取材では帽子を深くかぶって、ちょっと下をうつむいてボソボソ話していた印象があります。ダルビッシュ・有投手は上を向いたり横を向いたり、せわしなく動いてあまり記者と目線を合わせない。田中将大投手はまっすぐ前を向いたままで、横に立った記者から質問されても、前を向いたまま。あわてて言いますが、それを「非礼」だと私は思いません。仕方のないことです。だってまだ高校生だもん。大阪桐蔭の中田翔投手は、150キロを出したときが1年生だったので、ちょっと頬を染めながら、恥ずかしそうに応えてくれていました。彼はゴツイのでコワモテなイメージがありますが、基本的に恥ずかしがり屋さんでした。

 で、仙台育英の佐藤由規投手ですが、必ず取材者の方を向いて、きちんと受け答えする。なんというか、取材した中で、大阪桐蔭・辻内崇伸投手(現・ジャイアンツ)とならんで「もっとも腰の低い150キロ投手」ですな(笑) ひょっとして、自分が持っている才能の「重大さ」にまだ気づいていないのかな、と心配になったりもするのですが……。 

    ◇

 「ヒーローズ」取材班の同僚記者たちと雑談していて、ほかの見所は、智弁学園と広陵の2遊間の守備。軽くて柔らかい。打球が飛んでいくのが楽しみな2遊間です。

 チーム力でいえば、やはり帝京と常葉菊川かなあ。上に駆け上がっていくには、ともに二枚目の先発投手が焦点になってくるでしょう。

 個人的に好きな野球は青森山田。あの隙のない走塁、スピードは他校の驚異になるでしょう。とくに一番を打つ近藤選手は面構えといい、なにをしてくるかワクワクする。すべての打席が見逃せません。

このページのトップに戻る