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最後の球は決めていた 斎藤佑樹投手

2006年08月22日

 マウンドで、早実のエース斎藤佑樹君は右足で10回ほど土を固めた。次の1球で終わりにする。感謝の意味を込めた。

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駒大苫小牧―早稲田実 9回表駒大苫小牧2死、田中(手前)を三振に打ち取り優勝を決めた早実の投手斎藤

 打者に向かい、左手のグラブを胸の前に持っていく。その中で右手でボールを握る。サインにうなずき、左足を半歩ひく。体を右後ろにひねりながら左足を大きく上げると、踏み出した。

 144キロの直球がミットに収まった。本当に最後の1球になった。

 小学1年で兄と野球を始めた。夕飯後、父に「トレーニングしないとうまくならないぞ」とはっぱをかけられ、泣きながら腕立て伏せをした。負けん気が強かった。

 中学軟式野球部の3年間、遠投を肩が疲れるまで毎日続けた。肩やひじを故障したことはこれまで一度もない。球速を決める右脇の後ろの広背筋は、張り出すほどだ。

 何度も変化を遂げ、挑んだ大会だった。

 昨年の西東京大会、準決勝で日大三にコールド負けした。以来、マウンドで感情を封印した。投手の生命線と言われる内角の直球に磨きをかけた。今春の選抜大会では、3連投となる横浜(神奈川)戦で大敗した。スタミナをつけるため、走り込みを繰り返した。

 この夏が始まる前、捕手の白川英聖君と決め球を決めていた。これまでの試合で、打者を抑えた最後の1球と打たれた球を書き出すと、抑えた球のほとんどが直球だった。その「一番最後に投げる得意の球」で、夏を締めくくった。

 69回登り、948球を投じた甲子園のマウンド。試合後、ひとり駆け出すと土を袋に入れた。(五十嵐聖士郎)

     ◇

◆「部員・スタンド、全員主役」

 試合後のグラウンドで、斎藤佑樹君は取材陣の質問に答えた。

 ――優勝を決めた瞬間、何を思った。

 和泉監督を優勝監督にできたのが一番うれしいです。やっぱり自分をここまで成長させてくれたのも和泉監督だと思うので感謝しています。

 ――疲れはあったでしょう。

 はい。でも最後なんで気持ちで絶対負けないようにしようと思ってました。今まで戦ってきた仲間が土壇場で逆転してくれたり、ほんとに仲間を信じることが余裕につながったんだと思います。

 ――お母さんにはどんな報告を。

 こんなに連投しても大丈夫な体に生んでくれてありがとうと言いたいです。

 ――9回に本塁打を打たれた。

 打たれた瞬間はやばいなと思ったんですが、どっちにしろスリーアウトとるのは一緒なんで、ここから3人で抑えればいいという感じで投げました。

 ――最後まで勝ち残ることがこの夏の主役、と言っていたが。

 自分が主役と言うよりは、早稲田実業野球部、アルプススタンドのみんなも含めて全員が主役だと思います。

 ――高校野球が終わってまず何を。(群馬の)実家に帰りたい?

 それが一番です。

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