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代打の切り札、笑顔で去る 今吉晃君「しゃー」2006年08月20日 大歓声はしっかり耳に届いていた。4点を追う6回2死二塁、鹿児島工の今吉晃が打席に立つ。いつも通り「しゃー」と雄たけびを上げた。
鹿児島大会からすべて代打出場で、9打数7安打。打つと味方が活気づく。準々決勝での内野安打は同点への足がかりになった。打つだけではない。攻撃前の円陣やピンチでの伝令では、五厘刈りの頭を触らせる。みんなの肩から力が抜け、幾多の危機を救ってきた。 早稲田実・斎藤もその存在を意識していた。「今吉君に打たれると一気に流れが動く。彼だけは三振を狙いました」 3ボールからの4球目を振ってファウルにする。「四球では流れが変わらない」。続く直球は手が出ず、2―3に。次の145キロは高めのボール球だったが、「矢のような球に手が出た」。三振。クールな右腕まで、珍しく雄たけびを上げた。 鹿児島弁でいう「ぼっけもん」だ。「向こう見ず」「とぼけたやつ」という意味だが、親愛の情を込めて使われる。 愛される理由がある。昨秋、腰を疲労骨折。正選手の夢は絶たれたが、練習では一番に声を出した。投手のマッサージ役を買って出た。小学校から一緒の今吉健は「みんな努力を知っているから、あいつがムードメーカーなんです」と語る。
敗戦後も笑顔を絶やさず、斎藤に「優勝しろよ」とエールを送った。わずか6球。それでも「今まで生きてきた中で、一番楽しい打席でした」。
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