|
|
||||
猛練習に自負 笑顔通す 上伊那農・松沢浩平君2006年07月12日 「去年の悔しさをぶつけてやろうと思っていたのに」。上伊那農の主将で4番打者の松沢浩平君は、そう言って悔しさを押し殺した。
松商学園とは昨夏、ベスト16進出をかけた3回戦で対戦し、4―8で敗れた。今春の県大会1回戦でもコールド負け。上伊那農にとって、雪辱を果たす対決だった。 2回に先頭で打順がきた。「自分が出て、いい形で回したい」。直球にバットを合わせたが、二ゴロに倒れた。4回はレフトフライ。その間、長打攻勢の松商学園にどんどん引き離された。 松商学園の宮島晃一投手対策として、ピッチングマシーンを近くに置き、速いスライダーに慣れるための打撃練習を繰り返した。チーム一丸で「打倒松商」を目標にした。 「悔いを残したくない」という松沢君の思いに、父武夫さん(52)が今春、勤務先の工場に手作りの室内練習場をつくってくれた。30畳ほどの広さにもらってきた古畳を敷き、トスバッティング用のネットを張った。 毎朝7時から、武夫さんが200球のトスを放った。打球が武夫さんの腕を直撃したことも1回ではない。それでも試合前日まで続いた。 苦しい試合展開にも、上伊那農の選手は最後まで笑顔を絶やさなかった。「明るくないと上農野球部じゃないから」だ。最後の攻撃となった5回裏、ベンチで円陣を組んだ。「ここまでやって来たんだから、胸張っていこう」と松沢君はみんなに声をかけた。 「苦しかった4、5回でも笑顔でやっていた。ほめてあげたい」と守屋光浩監督はたたえた。
幼いころにキャッチボールをしながら「松井秀喜みたいになりたい」と父に語ったこと、毎朝一緒に汗を流してくれた日々――。「今までありがとうと言いたい。だからこそ、打って応えたかった」。松沢君は涙がこぼれないよう、上を向いたままつぶやいた。
|
|