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泥まみれで仲間励まし 中野・須田康博君

2006年07月09日

 上田千曲の校歌を、中野の3番打者須田康博君はベンチ前で聞いた。高校に入ってから始めた野球の思い出が、頭の中をかけめぐった。練習試合で負けて20キロを走って帰ったこと、勝利にみんなで喜んだこと、そしてあのけがのことも……。

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立ち上がりに乱れた杉浦君に声をかけ、ベンチへ戻る須田君(手前)=7月8日、県営上田

 10点を取られての5回コールド負け。中野はヒットを1本も打てなかった。須田君は「9回まで試合がしたかった」と、泥で茶色になった帽子を握りしめた。

 好機はあった。1回に連続エラーで無死一、二塁とし、打順が回った。須田君はサイン通りにバントを決めた。頭から思い切って一塁にスライディングすると、相手の犠打野選となってセーフに。だが、中野は無死満塁をいかせなかった。

 昨夏、試合中に走者と衝突して左鎖骨を骨折した。周りが練習している中で焦りばかりが募り、痛くない程度にスクワットをしたり、ダンベルを使って右腕の筋力が衰えないようトレーニングしたりした。

 「普段はおとなしいが、ひたむきに練習する姿勢は後輩にしっかり映っているはず」と関島資浩監督は評価する。

 ボールを握ったのは昨年9月になってから。右投げだが腕に力が入らず、投げたボールは全然遠くに飛ばなかった。

 中学生の時、テレビ画面の中で必死にボールを追う球児にくぎ付けになった。「こんな風になりたい」。入学後、迷わず野球部に入部した。初めて「熱中できる唯一の特技」を見つけた気がした。見くびられないよう堂々とバッターボックスに入ることを心がけた。

 上田千曲戦。1回に4点を取られた杉浦峻太投手を、二塁から「大丈夫だ」と励まし続けた。最後の打席は直球を打ちそこねてサードゴロに終わった。反撃の突破口を開きたいという意気込みが力みにつながった。

 「3番の役目を果たせなかった」と肩を落とすユニホームは、人一倍泥だらけになっていた。

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