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笑顔の裏、駆けめぐる3年間 東北・高山一輝投手2006年08月02日 仲間が苦戦していた。
ほんの1日前、自分が延長15回209球を投げ抜いて無失点に抑えたマウンド。東北の高山一輝君(3年)は、ベンチから「いつでも行けるように準備はしていた」。 7回裏、仙台育英のリードは2点に。苦しい場面で、エースの出番がやってきた。 スタンドでは母のすが代さん(37)が手を合わせ、目に涙をためながらマウンドを見つめる。「『一輝』の名前は、野球好きのお父さんが、グラウンドで一番高いマウンドで輝いて欲しいと思って付けたんです。今日も輝いて」 だが、連投の疲れが、高山君の輝きを鈍らせていた。 8回、先頭から連続四死球。そして、仙台育英の斎田嵩人主将に右越え二塁打を浴びた。大会初の失点で、仙台育英との差は一気に3点に。 本塁へ向き直った高山君に、笑顔が浮かんでいた。目元も潤んでいるように見えた。マウンド上で再三にわたって「よっしゃー」と雄たけびを上げた、前日の高山一輝はそこにはいなかった。 3点を失い、うなだれて高校最後のマウンドを降りた。支えてくれた母や仲間の姿が脳裏をめぐり、もう涙をこらえきれなかった。 「気持ちを切らさないようにしたけど、体がついてこなかった」。試合後、高山君はさばさばとした表情で語った。笑顔の理由については、「自然と笑っていたんじゃないですか」。
閉会式を終えたグラウンドで、エースの瞳にもう涙はなかった。
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