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熊本工、猛打で圧倒 不調のエース、一丸で補う2006年07月30日 真夏の透き通った青空に4本の放物線が描かれ、球場に歓声と悲鳴が響いた。球児たちの思いがぶつかり合った17日間が終わった。68校の頂点に立ったのは熊本工。大会3連覇の誇りを胸に舞台は甲子園へ。新たな物語の幕が開く。
▽決勝 熊本工15−5専大玉名 熊本工の選手たちが持ち味を存分に発揮した。1回1死、チーム一の俊足で2番打者の藤村が打席に立った。「塁に出ないといけない。自分ができるのはバントだ」。初球を三塁方向に転がして懸命に走り、内野安打にした。橋本の犠打で二塁に進み、狩場の適時二塁打を呼び込んだ。 2回2死二、三塁で再び藤村。遊撃に転がし、適時打となった。「自分が生きるため、遊撃方向に打とうと心がけた」 直後の橋本は、真ん中高めの直球をたたいた。「甘く入ってきたから思い切り振り抜いた」。打った瞬間、それとわかる左越え本塁打。昨夏は故障でレギュラーを外れ、夏の大会は初めて。その決勝で、公式戦初の本塁打が飛び出した。流れは完全に熊本工に傾いた。 エースの前田が不調の中で、捕手として今大会は隈部、今村の2年生投手をリードしてきた。 先発した隈部は1回、2死一、三塁のピンチは切り抜けたが、連投の疲れが出ていた。隈部が1点を失い、5回途中から後を受けた今村も投げ急ぎ、専大玉名打線につかまった。 7回、無死満塁のピンチを迎えた。橋本はマウンドに行き、「アウトは1個ずつ取ればいい。思い切り投げろ」。 その結果、長打力がある安達を三振、続く好打者の木村を投ゴロで併殺に打ち取り、専大玉名打線の反撃を断ち切った。 終盤に入っても熊本工打線の勢いは止まらなかった。圧巻は4番狩場の本塁打。9回、先頭の橋本が二塁打で出た。「走者をかえすため、シャープに打とうと思った」。振り抜いた打球は放物線を描いて右翼席へ。4回に続く2本目の本塁打。試合後には「自分は本塁打打者ではない。2本も打てたのは奇跡的」と照れ笑いを見せた。 2年生投手陣の踏ん張りと打線の爆発。大量リードで迎えた9回、2死から最後の締めにエース前田が登板した。6月から肩に違和感を感じ、不調が続いた。「悔しい思いもあったし、みんなにがんばって欲しいという気持ちもあった」 マウンドに駆け寄ってきた橋本から「直球で思い切り投げろ」と言われた。まだ本調子ではない。それでも精いっぱいの直球を投じ、最後の打者を三塁ゴロに打ち取った。
「最高です。何とか調子を取り戻し、甲子園で自分らしい投球をできるようにしたい」。笑顔で抱負を語っていた。
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