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食って打つ練習の虫 横浜商大・伊勢田翔君2006年07月29日 180センチ89キロの巨体が体を揺らせて走った。
8点差をつけられた4回表、死球で出塁した横浜商大の伊勢田翔君(3年)は、続く水口澄斗君(2年)の左前安打を、左翼手がお手玉するのを見て二塁をけった。 50メートルは7秒以上。鈍足だ。三塁コーチはとめていたが、「すきにつけ込まなければ流れはこない」。三塁に頭から滑り込む。タイミングはアウトだったが送球がそれた。この回、横浜商大に5点をもたらす口火となった。 チームメートは伊勢田君を「練習の虫」と口をそろえる。夜帰るときは必ず最後だ。打ち込みを中心に千回はバットを振る。「毎日、誰もいなくなったことを確認してグラウンドを出るんです。自己満足ですけど」 「食うのもトレーニング」と、朝に1.1リットル、昼に1.6リットルの大型の弁当箱を平らげる。帰宅後はご飯のおかわりを義務づけた。入学時90キロだった体重が、1年の夏までに20キロ減ってしまったことの反省だ。はじめはきつかったおかわりも、最近は2、3度する。さらに菓子パンまで食べる。「体重があると、飛距離も違います」 ここまでやる気にさせているのは、伊勢田君が「地球上で一番怖い生き物」という金沢哲男監督だ。「あんなでかい手の人知らないです。体も大きいし、怒鳴られるとマジでびびります」。しかし、伊勢田君も負けてはいない。朝の練習は監督を見返すために始めたものだ。気がつけば長打力はチーム一になり、5月下旬、練習グラウンドの外野ネットを打球が越え、民家の屋根を直撃した。コーチが謝った。 今大会は不調だった。打順は1番から6番に下げられた。悩む伊勢田君に金沢監督は上溝戦後「考えるな。全部ホームランを狙え」と伝えた。吹っ切れた。続く慶応戦で2安打、鎌倉学園戦で3安打を放った。 しかしこの日、東海大相模に完敗。5回、詰まると思った小玉雄介君(3年)の打球が頭上を越えたとき、「打球の質が違う」と感じた。 振り返ると、監督にしかられたことがたくさん思い浮かぶ。「すごくお世話になった。一番怖いけど、一番尊敬する人です」
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