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後輩指導しチームに貢献 慶応・水野永吉君

2006年07月24日

 「球が少し高い。テンポはいいんですが……」

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スタンドで慶応の水野選手

 5回を終え、4点を追う苦しい展開。一塁側慶応スタンドの水野永吉君(3年)は、エース田代啓明君(3年)の投球を心配そうに見守っていた。

 水野君は4月から、1年生に体力作りのメニューや基本プレーを教える「新人監督」に就任した。新入生が戸惑ったり、けがをしたりしないように練習メニューを管理するのが仕事だ。筋力トレーニングやスイングの指導をし、サインプレーを教える。主力選手とその他の部員を「メジャー」「マイナー」と分ける慶応では、マイナーの部員だ。

 だが、水野君は1年の夏からベンチ入りし、上田誠監督も「将来の右のエース候補」と考えていた選手だった。

 投球練習中に右ひじから「ぷちっ」と音がしたのは昨年9月だった。痛くて投げられなくなった。関東の病院を六つ回ったが、原因すら分からなかった。2、3月は箸(はし)を持つ時もしびれた。上田監督から「野手としてやってみないか」と打診されたが、答えは保留した。

 3月、広島大学病院で、靭帯(じん・たい)が断裂していることがわかった。ショックだった。気持ちを整理するため、2週間部活を休んだ。

 休み明け、「チームに、今の自分ができる一番の貢献がしたい。新人監督をやらせてください」。上田監督に伝えた。「もっと自分中心に考えていいんだぞ」と言ってくれたが、けじめをつけたかった。決心の堅さに上田監督は「1年をよろしく頼む」と言った。

 「中学に比べ、練習量が増え、すねや腰、ひじを痛めるケースが多い。けがの苦しみは誰よりも知っている。同じ悔しい思いをさせたくない」。連日、丁寧に指導した。

 新しい道も見つけた。今、目指しているのはプロゴルファーだ。毎日通っているジムでクラブを振ってみたら、ひじが痛くなかった。「ゴルフは自分との戦い。ひじと向き合った経験が生きるはず」

 試合が終わったとき、ぼうぜんとグラウンドを見ていた。球場の外で行われた胴上げでは、仲間たちに呼ばれ、一番はじめに胴上げされた。3度宙を舞ったとき、彼は笑顔だった。

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