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金沢、夢つかむ3点弾 「約束の舞台」で喜び爆発2006年07月31日 三度目の正直。石川の頂点に立ったのは金沢だった。30日、ようやく梅雨明け。51校の夢を受け継ぎ、真夏の甲子園に挑む。
◇ 9回表。2死一、二塁。金沢には4点のリードはあったが、相手は2年連続で涙をのまされたライバル遊学館。マウンドの瀧口勇次を心配して、内野陣が集まってきた。瀧口は前日の準決勝の星稜戦でも7回から登板。延長13回まで続いた激闘で100球を投げていた。 みんなで輪になって、空を見上げた。「下を向いていたら勝てない。上を向こうぜ」と、みんなで考えたリラックス方法だ。だが、当の瀧口は、この試合を楽しんでいた。なぜなら、投げ合う相手があの番匠啓介だったからだ。 瀧口は輪島市の町野中出身。番匠は珠洲市の緑丘中出身。同じ奥能登で育った2人は中学時代に練習試合などで顔を合わせるうちに、自然と仲良くなっていった。 今大会の14日の開会式でも2人は言葉を交わしていた。一昨日には瀧口が番匠にメールを送った。内容は「絶対に決勝で対決しよう」。決勝は2人にとって、激戦を勝ち抜きたどり着いた、「約束の舞台」だった。 だから、9回に番匠に安打を打たれたとき、塁上の番匠と目があって思わず「さすがだな」と、にやりとしてしまった。 最後は満塁の走者を背負ったが、あらん限りの力でスライダーを投げた。少し高めに浮いたが、気持ちを込めた球に遊学館の打者は空振りした。155球目だった。 捕手の森山誠がマウンドに駆け寄り、思いっきり抱きついてきた。瀧口も喜びを爆発させながら、「あいつの分まで甲子園でがんばろう」と思っていた。 8回、同点に追いつかれたその裏の攻撃。1死一、三塁の場面で、7番沢井亮介は5球目、高めの直球を振り抜いた。 打った瞬間、感触で「いった」と思ったが、塁だけを見て足をゆるめないで走った。けれどすぐに、スタンドの大歓声で本塁打だとわかった。「ああ、入ったんだ」と鳥肌がたち、本当に自分が打ったという実感がわいた。1球目でスクイズを失敗し、ラストチャンスだと思っていた。 三塁走者だった代走の山田貴春は「沢井はここ一番で強いなあ」と驚きながらホームを踏んだ。6回、沢井は安打で出塁したものの、リードが大きく牽制(けん・せい)で刺され、好機をつぶしていた。だが、ミスを補って余りある決勝打だった。 1回表に遊学館に先制され、昨夏、一昨夏と同様、追いかける展開となった。だがその裏、先頭の細川龍史が反撃の口火を切る中前安打を放つ。 「絶対に塁に出てやると思っていた」。星稜との準決勝で仲間が活躍する中、1番打者ながら7打数無安打だった。 昨日の夜は眠れなかった。勝ってこんなに悔しいのはいつ以来だろう。昨年の決勝でも1番で出場したが、4打数無安打だった。細川は50メートルを6秒を切って走る俊足。だが、塁に出なければ意味がなかった。 細川は沢田昇吾の適時打で同点のホームを踏み、チームに流れを呼び込んだ。「感無量です。これで仲間に気後れしないで甲子園に行けます」。準決勝で勝ったときには出せなかった分、人一倍、喜びの笑顔がはじけた。(敬称略)
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