小学6年生と中学3年生が4月に受けた全国学力調査の結果が、卒業を5カ月後に控えた今、やっと発表された。教育現場では「発表が遅すぎる」と戸惑いが広がる一方で、結果を今後の指導に生かそうとする声もある。
長野県内の公立小で6年生を担任する教諭は「問題は5年生までの内容。いま時間を割いて復習させるほどのものなのか。『それぞれで復習してね』と言うしかない」。兵庫県内の公立小教諭も「卒業年次にやらせるのは無理がある。やるならもっと早く返してくれないと対策の取りようがない」と憤った。
それでも、小学校の場合は「調査結果を3学期に生かし、基本的なところをしっかりおさえて子どもたちを中学校に送りたい」(埼玉県鴻巣市立笠原小の倉持雅夫校長)と、児童一人一人の指導に利用しようとする学校もある。しかし、中3にとって今は受験対応で忙しい時期。中学校では結果を個別指導に生かすことは難しそうだ。
大阪府高槻市立第七中の前田勉校長は「これからの時期は受験でいかに得点できるかという技術的・実践的な指導になってくる」とし、「本当に個々に生かそうと思うなら、夏休み前に結果をもらわないと」。
ただ、学校全体としての結果は、来年の指導に生かすことができそうだ。「2、3年続けてテストを実施して、学校としての結果を比較できてくると意味があるのではないか」(前田校長)。
教育委員会はどう受け止めているのか。
長野県伊那市の北原明教育長は「テストを受けた子どもの学習を改善するなら、せめて夏休み明けには結果を返却してほしかった」。
新潟県聖籠町の坂口真生教育長は「今回の程度の調査なら、全員ではなく抽出で十分だったと思う」と調査の実施方法に疑問を示す。東北地方の町の教育委員会の担当者も「すでに全学年で県と町の2度の実力テストを実施しており、成果も上がっている。対象となる教科も学年も中途半端なテストに5時間も取られると、通常の授業を大きく圧迫する」と迷惑げだ。
横浜市教育委員会は、学力調査実施後に学校で指導に生かしてもらうことを念頭に、答案用紙をコピーするよう全小、中学校に求めていた。市立小校長の一人は「コピーはとったが特別な活用はしていない。せっかく貴重な時間をさいて受けたテストなので、結果は何らかの形で活用したい」と話す。
一方、全国の自治体で唯一、参加しなかった愛知県犬山市の瀬見井久教育長は「国の対応はちぐはぐで、(調査は)愚行だと思う。子どもたちのためにならない。来年も同じならば犬山は参加しない」と批判した。