●政治・経済分野で具体的知識を問い、レポートの効率的作成方法などを問う新傾向も。
【大問数】 減少
【設問数】 変化なし
【マーク数】 変化なし
【難易度】 難化
【全体概観】
大問が2題減少したが、設問数、マーク数は変わらなかった。昨年は2題あったリード文のない小問集合は姿を消した。会話文形式のリード文も2題出題された。問題内容では、第1問の日本の政治制度については具体的な統治システムの内容、第2問の国際経済では為替レートの変化、国際通貨体制、貿易摩擦の状況、第5問の経済では中国やロシアなど社会主義諸国の経済の変革といった政治経済的な具体的知識を要求する問題が増加している。
一方で、青年期や現代社会の特質については、統計読解が例年出題されており、得点をあげやすい問題となっている。また、第6問のようにレポート作成上の注意事項や効率的作成方法を問う新傾向の出題も見られた。問題で問われている知識自体は特別に難しいわけではなく、教科書レベルの基本的知識をいかに正確に理解しているかが問われている。しかし、単に事項を一問一答的に暗記するだけでは簡単には正解にたどり着かない問題が多く、その事項や政策が現実の社会においてどのような意味を持っているかを具体的に理解していることが必要であるため、通り一遍の学習で済ませてしまった受験生にとっては厳しい結果になったであろう。
また、選挙制度の改革、憲法改正の手続き、貿易摩擦、少子化対策、高齢社会対策、狂牛病(BSE)対策、2001〜2004年の中国の経済指標の読み取りなど、時事的テーマや現代社会特有分野の問題も幅広く出題されている。全体の難度は昨年より上がっている。
【設問別分析】
【第1問】民主主義と日本の政治制度
民主政治のあり方、裁判所の役割、国会の地位・権限、衆・参の選挙制度、国民審査の方法、各種の議決手続、憲法上の人権の基本を問う。政治制度を正確に覚えておくことが要求された。
【第2問】国際経済について
円高の要因、G5・G7による政策協調、サミット、日米貿易摩擦、累積債務問題や国際収支の理解、国際通貨体制として固定相場制から変動相場制に移行した流れを問う。
【第3問】 青年期の意義
青年期の課題として自我確立の意義、青年期の変化に加えてわが国が行っている少子化対策などの時事的話題を問う。
【第4問】 日本の農林業と社会問題
高齢社会対策としてのユニバーサルデザイン、コメの自由化と食糧管理制度廃止、マークや遺伝子組み換え食品の表示問題や狂牛病対策など社会的に話題となった事項を問う。ただし、1990年代の東京湾の水質汚染の大部分が生活排水であること、農林業の里山、間伐、下草刈りは細かい出題であった。
【第5問】 社会主義諸国の経済改革
2001〜04年の中国の経済指標の読み取り、ロシア経済の現状、中東欧のEU加盟や市場への参加などを問う。ベトナムがAPECに参加している点や、ロシアがWTOには参加していない点などを問う細かい選択肢も出されている。
【第6問】 文化の特徴とレポート作成の方法
レポート作成上の注意事項と効率的な作成法といった新傾向問題が特徴的。高校の教科書に記述されている一般的課題からの出題であるが、ブレインストーミングやKJ法といった聞き慣れない選択肢に戸惑った受験生も多かっただろう。通過儀礼や若年文化は基本問題であった。
【新高3生へのアドバイス】
「現代社会」では、時事テーマを素材としつつも、その根本にある基本的知識と、その理解度が問われています。「政治・経済」に比べて多方面にわたる知識と理解が必要ですので、制度・仕組みの定義、存在理由(意義)、問題点、解決策を確実に押さえていきましょう。センター試験では「青年期の課題、現代社会の特質、倫理、文化」「人類的課題〜人口・資源・環境・都市問題」「経済分野」「政治分野」「国際政治・国際経済分野」「国民福祉」という大きな分野から幅広く出題されていますので、知識の穴を作らずに幅広く基本知識を積み重ねていくことが肝要です。とくに政治経済の分野では知識が問われ、点差のつく部分ですから、しっかりと勉強しておいて下さい。
また、時事テーマとして出題される問題は、現実の問題点と解決策ですので、基本事項の先にどのような現実と問題点があるのかを押さえていく姿勢が大切です。地球環境問題や少子・高齢化といった大きな時事的テーマはもちろんのこと、最新の時事動向に興味を持っておくことが高得点のカギとなるでしょう。また、資料やアンケート調査の読み取り問題では、教科的知識にとぼしくても解答可能な問題が多い一方で、資料の読み取りに時間を取られるため、設問形式に十分慣れておくことが大切になります。過去問演習を繰り返すだけでなく、東進の「センタープレ入試」を積極的に受験して、本番の雰囲気に近い状況での訓練を十分に積むようにしましょう。