11日の投票日。伊藤家の人たちは、いつものように全員が、投票所の東京都府中市、府中第一小学校に歩いて出かけた。 朝6時半に家を出た林作さんは、今回も投票所一番乗り。この日仕事があった佳奈子さんは出勤前に弟の盛敏さん、さやかさん夫婦と一緒に出かけた。残る4人も午前中に投票を済ませた。 □ □ 家族は居間で、午後8時前から始まったテレビの開票速報を見守った。 伊藤家ではお互い、誰に投票したのかは明かさない。でも、大学4年生の博康さんは「いま一番興味があるのは環境問題。だって異常気象が多いでしょ」。言葉の端々から、支持模様は与野党に分かれたことがうかがえた。 「戦争には反対だが、イラクへの自衛隊派遣には賛成」と言っていた林作さんは、「民主党の岡田さんもまじめそうで良いこと言っているけど、小泉さんには実行力がある」と、自民党に入れた。 小泉首相でなければ、北朝鮮による拉致被害者も帰国できなかったと思っている。しかし、3年前の参院選と比べ、自民党の議席が伸び悩む状況に、「年金、イラク問題などで小泉さんの強引さが目立ったからかも知れない。反省すべき点は反省し、これからも頑張ってほしい」と言った。 □ □ 一方、孫の佳奈子さんは、民主党の女性候補に投票したという。 姪(めい)りこちゃんのあどけない顔を見ていると、「母親っていいな。将来は結婚して、子どもを育てたい」と最近感じる。子どもを取り巻く事件が多いなか、「子どもの未来が明るいように」。一票にそんな願いを込めた。 無党派の佳奈子さんは、投票するときは毎回悩む。「今回は人物本位で選んだら、それが民主党の候補でした」という。 敏春さんは「投票するのは国民の義務。その義務を果たさないで、今の政治がいいとか、悪いとかは言えない。自民党の議席が伸びなかったのは、やはりイラクと年金問題だと思う」と言った。
(朝日新聞2004年7月12日朝刊紙面)
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