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松山市久万ノ台の松山西中学校。1年生のクラスでは、生徒40人が6月中旬のこの日、社会科の授業で平安時代の律令国家について学んでいた。教師の質問に半数以上の生徒が元気良く手を挙げる。生徒たちが使っているのは扶桑社の「新しい歴史教科書」だ。
従来の教科書を「自虐史観」と批判し、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導してつくった。特に近現代史では先の戦争を「日本軍の南方進出は、アジア諸国の独立を早める一つのきっかけともなった」などと評価し、中国や韓国などの強い反発を招いた。
カラーページや資料写真が多く、物語的な記述のスタイルも特徴。歴史教科書論議もあって、市販本の発行部数は約60万部(6月末現在)に上り、「歴史書としては異例のヒット」(扶桑社書籍編集部)になった。
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松山西中は昨年4月、今治東中、宇和島南中とともに開校した県立の中高一貫校。2年前の県教委による教科書選定で、扶桑社版を使うことが決まった。一般の公立中学校で扶桑社版を使っているのは、全国でもこの3校だけだ。
「子供たちの未来のために『つくる会』の教科書を採用しないでほしい」。中学が併設される前、松山西高に届いた反対のはがきやファクスは300通を超えた。歴史学者らも「記述内容に誤りや不適切な部分が多い」とする声明を出した。
しかし、県教委によると、実際に授業が始まってからは、保護者や市民から不安や批判の声は聞かれないという。県教委が昨年夏、保護者と生徒を対象にしたアンケートでも歴史教育に関する意見はなかった。
松山西中の宇都宮博晶校長は「歴史教科書問題より、一貫教育の魅力の方が浸透しているのではないか」と見る。ただ3校とも、最も賛否が分かれる近現代史はまだ授業で扱っていない。
「教科書が変わっても、私の教え方が変わるわけではない。戦争はあってはならないという視点に最も重きを置いて教えるだけだ」と、同じ教科書を使う今治東中の社会科教師はいう。松山西中の教師も「教科書にある記述は一つの見方でしかない。書かれていない部分も含めて、多面的に教えたい」とする。
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「(県教委が採用した)愛媛には頑張ってほしい」。6月12日、松山市内であったつくる会県支部の定期総会。扶桑社版の執筆者の1人、藤岡信勝・拓殖大教授は力を込めた。
文部科学省教科書課によると、今年度の扶桑社版歴史教科書のシェアは全体の0.097%にとどまる。それだけに、つくる会には「愛媛を突破口に、教科書を広めたい」との思いは強い。関係者は「他社の教科書の内容に影響を与えるためにも、シェア10%を目指したい」と強調する。
歴史教科書の採択をめぐり01年から02年の夏にかけて、県内では賛否両論の立場から激しい攻防があった。来年夏、公立中学校の教科書は再び採択の時を迎える。
同支部はまだ表立った運動を始めていないが、文科省での検定が終わり次第、県立中がある松山、今治、宇和島の3地区を「重点地区」として、採択へ向けた運動を展開する方針という。
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「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書を採用し、全国的に注目を集めた県の教育行政。来年夏には公立中学校で4年に1度の教科書採択を迎える。参院選でも教育基本法の改正論議が争点となっている今、県内の教育現場を報告する。
(07/03)
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