2004参院選
 
解消できぬ待機児童<課題を探る(4)>

 03年の出生率。

 全国平均は戦後最低の1.29。ところが、県内の数字はさらに低く、1.18だった。東京、京都に次ぐワースト3位だ。

 県こども家庭課の松田登志雄課長補佐(50)は6月11日朝、自宅で読んだ新聞でこの数字を知った。95年は1.36(全国41位)、00年は1.24(同43位)。出生率の全国順位はどんどん下がる。「01年度から、啓発パンフレットを作って少子化対策に取り組んできた。もっと力を入れねばならない」

 しかし、県の出生率がなぜ低いのか――。松田さんは「明確な分析はできていない」と話す。

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 奈良市の天理大助教授、安井眞奈美さん(36)は5月上旬、3カ月前に出産した長女を12月から保育所に預けようと市役所を訪れた。しかし、窓口の職員の答えは「入所は無理」だった。

 育児休暇中だが、12月には教壇に復帰する予定だ。しかし、長女を預ける保育所のあてがない。市内の保育所5カ所に直接訪れたが、入所できるかの問い合わせには「空きがあれば」という返事しかなかった。

 天理市の職場までは、自宅から電車などを使って片道1時間かかる。大阪府内の私立大で教員をする夫(42)と娘の送迎を分担しようか、それとも自宅を引っ越そうか、とも考える。「子供を産んでも、育てるのが大変。こんな環境では出生率は上がりようがない」

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 小泉内閣は01年、少子化対策として保育所の「待機児童ゼロ作戦」を打ち出した。保育所の受け入れ児童数を15万人増やす目標を掲げ、今年はその最後の年となる。

 しかし、県内の待機児童が解消される気配はない。4月1日現在、県全体で278人。このうち奈良市内が232人を占め、6月1日には328人に増えた。

 奈良市内の保育所は公私立合わせて35。98年から定員の115%の入所を許可してきた。待機児童が最多だったのは00年1月の531人。その後、私立5保育所が新設されたが、公立は1保育所の増改築にとどまっている。奈良市保育課の沢野井保係長は「市財政が悪化し、公立保育所を新設する余裕はなかった」と話す。

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 国から奈良市への補助金の公立保育所措置費負担金は04年度から廃止され、市は一般財源からひねり出さなければならない。国が進める「三位一体改革」の一環だ。

 沢野井係長は「延長保育など、市民の要望は多様化するのに、国から予算は下りない。市民と協力して、知恵を絞ってやっていくしかない」と話している。

 (07/03)


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