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JR藤枝駅前の商店街。新聞販売所だった事務所奥の階段を上がると2階に「教室」がある。長机にいすが10個ほど。太陽の光でポカポカになる窓際にはソファが置かれている。疲れた時や1人になりたい時、生徒が自由にくつろぐ。
不登校の児童や生徒が通うフリースクール「アラジン学園」。生徒は12〜22歳の十数人いるが、新年度になって3カ月が過ぎ、面談予約や見学が増え始めている。
約300万円の年間運営費を、賛助会員約40人の会費と生徒の月謝、藤枝市教委からの研究委託費で賄う。96年に開設し、今年2月、狭すぎたワンルームから今の場所に移った。家賃が倍以上になり、生徒の月謝をやむなく値上げした。中学生で3万円かかる。
教員免許やカウンセラーの資格を持つスタッフでも時給は700円。アラジンを運営するNPO法人の志水和子理事長(56)は「本当は手当を増やし、月謝も安くしたいけど」と話す。
97年度から02年度にかけ、県内の小中学生の数は1割以上減った。対照的に不登校の子どもたちは2526人から01年度に3795人と1.5倍になり、02年度も3529人。中学2校分以上の生徒が新たに不登校になった計算だ。
県教委は対策として、国の半額補助を受けて年間2億7200万円の予算を組み、カウンセラー153人を小中学校220校に置く。28の市町村教委も適応指導教室を開設。今年度から教員経験者らを相談員として小学校20校に配置している。
不登校の子どもたちの受け皿になってきたのがアラジン学園のような民間施設。県内に10前後あるとみられるが、運営は厳しく多くがボランティアに支えられている。「登校拒否を考える会・静岡」の世話人として20年近く不登校を考えてきた芹沢幸枝さん(65)は「資金難で閉鎖した民間施設をいくつも見てきた」という。
文部科学省が99年度に始めた調査研究委託事業は、こうした民間施設への事実上の財政支援となっている。県教委によると、民間施設を公的な教育の仕組みに位置付け、公金を支払う制度だ。生徒の復学を目的にすることが前提で、県内では6施設が年間30万〜88万円を受け取っている。
静岡市中田1丁目のフリースペース「かげんどら」はこの事業の対象外だ。不登校支援14年目の石上康彦代表(46)によると、子どもが復学を望めば支援するが、復学を目的にしているわけではない。育った多くの子どもたちは今では社会人生活を送っているという。
「現状で精いっぱいの子には居場所があるだけで意味がある。先を考える余裕が生まれれば自分から勉強を始め、働き始める。子どもの将来を信じて待つことも大切だ」と石上代表は話す。
県教委が調べた対象6施設の復学率は11分の5、12分の11、11分の5、7分の4……。1日だけ学校に通っても復学に数える。その後、また民間施設に戻る子もいる。
そんな実態を見てきた施設関係者が言う。「民間施設もほんの一部の不登校の受け皿にしかなれていない。3千人以上の児童や生徒が毎日をどう過ごしているのか。その子たちは卒業後どうしているのか。学校教育そのものの在り方を見直さなければ、問題は深刻になるばかりだ」
(07/01)
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