2004参院選
 
陶磁器業界 <クニのゆくえ 保守の底流で:上>

 自民2497票

 民主2544票

 昨年11月の衆院選比例区で現れた有田町の得票結果が、今も関係者の間で波紋を呼んでいる。

 「結果を見て私もびっくりした」。4日の自民有田町支部総会で西山清治町議が振り返ると、参加者の顔が一様にこわ張った。選挙区では自民候補が圧勝した佐賀2、3区の市町村で、比例区得票が民主を下回ったのは同町だけ。同町でも初めてだった。民主県連幹部も「なぜだか分からない」という異変だ。

 同町は、自民現職岩永浩美氏(62)の出身地、西有田町の隣。いわば「おひざ元」で、民主が組織的に動いた気配もなかった。西山町議は「有田の窯業界は10年以上も低迷しているから、自民への批判票という意味があるのかも」と話す。

 全国有数の陶磁器産地は苦境が続く。財務省佐賀財務事務所によると、有田焼業界で共販の3協同組合に属する約380社と直販大手2社の売上高は、03年で91億1400万円。ピークだった91年の4割に満たない。

 打開策として、同町など2市5町と県は5月、補助金の使途を地域で自由に考えられる制度「地域再生計画」の適用を内閣府に申請。一流デザイナーの下で研修を受ける人材育成事業などが近く認定される見通しだ。大有田焼振興協同組合の理事長でもある岩永氏は「制度の存在を私が県に助言した」と、業界代表の立場を強調する。

 岩永氏が75年県議選で初当選して以降、地元の西松浦郡には、県立九州陶磁文化館(80年)や県立有田窯業大学校(85年)などが出来た。95年参院補選で初当選した翌96年には「世界・ほのおの博覧会^」が開かれ、255万人を集めた。同組合幹部も「岩永氏を業界代表として支援する」。

 だが、その厚い地盤に異変が生じている。今年になって、有田町の陶磁器業者ら約10人が民主支持を訴え始めた。60〜70代が中心で、県連組織とは無関係の「草の根」。その多くは昨年衆院選でも、選挙区で自民候補に投票しながら、比例区では民主に投票した。

 ある人は、自民の国会議員や県議が理事長を務めた佐賀商工共済協同組合の破産(昨年8月)を、ある人は、年金改革関連法案の強行採決(今月)を、理由に挙げる。「自民への嫌気」が共通点で、岩永氏の「業績」についても「彼のお陰という根拠はない」と口をそろえる。ある男性(61)は「両党が拮抗(きっこう)して、政治に緊張感が出た方がいい」と言い切った。

 岩永氏は99年西有田町長選、03年県議選西松浦郡区で、それぞれ今の現職に、自分の周辺の人物を対抗馬としてぶつけた経緯がある。そのしこりを懸念する声もある。

 それでも、大有田焼振興協同組合の幹部は言う。「焼き物しかない町で、それがなくなれば、食堂も生き残れない。多少の行き違いがあっても、最後はまとまる」

 一方、民主新顔の川崎稔氏(43)支援に動き始めた男性は、こう見る。「自宅に岩永氏のポスターを張っても動かない人は多い。5分5分に近い票が出るのでは」

    ◇

 「保守王国・佐賀」でささやかれる保守地盤の劣化現象は、今回の参院選で、どう現れるのか。昨秋の衆院選に続いて、その底流をのぞく。

 (06/17)


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